「老害芸」ひと筋 梅沢富美男さんはウケてなんぼ、炎上も計算のうえ

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どっちが本当?

   いまや芸になるほど、そして芸能界にその「枠」ができるほど、老害なるものが世にはびこっているということか。いかにも世界有数の高齢国である。

   梅沢さんの毒舌や憤激がある種の芸であることは、業界関係者はもちろん、多くの視聴者も承知のことだろう。のべつ本気で怒っていたら、ここまで重宝されまい。

   ところが梅沢さん、連載のごく初期の昨秋、テレビ界の事なかれ主義を嘆いて、こんなことを書いている。

〈最近はSNSで叩かれたらすぐ企画を変更したり、場合によっては番組ごと打ち切りになったりする。現場はいま、出演しているこっちが呆れるほど過敏になっている〉

   それを受けて、私は当コラムでこう書いた。

〈テレビでは「キレやすいおやじ」として世相に毒づいている梅沢さん。あれは半分以上「演技」だと思っていたのだが、どうも本気で怒っているらしい...計算づくで、あるいは逆に見境もなく怒っているのではなく、彼なりに「怒るべき理由」があるようだ〉

   基本的には場の空気を読んでの芸だが、たまに本気でキレる。カメラのフレームから外れた私生活も同様...演技のようでいて、そこに本音もにじむ。

   そのへん、あえて曖昧にしているのも「営業戦略」ということなのか。

冨永 格

冨永格(とみなが・ただし)
コラムニスト。1956年、静岡生まれ。朝日新聞で経済部デスク、ブリュッセル支局長、パリ支局長などを歴任、2007年から6年間「天声人語」を担当した。欧州駐在の特別編集委員を経て退職。朝日カルチャーセンター「文章教室」の監修講師を務める。趣味は料理と街歩き、スポーツカーの運転。6速MTのやんちゃロータス乗り。

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