どっちが本当?
いまや芸になるほど、そして芸能界にその「枠」ができるほど、老害なるものが世にはびこっているということか。いかにも世界有数の高齢国である。
梅沢さんの毒舌や憤激がある種の芸であることは、業界関係者はもちろん、多くの視聴者も承知のことだろう。のべつ本気で怒っていたら、ここまで重宝されまい。
ところが梅沢さん、連載のごく初期の昨秋、テレビ界の事なかれ主義を嘆いて、こんなことを書いている。
〈最近はSNSで叩かれたらすぐ企画を変更したり、場合によっては番組ごと打ち切りになったりする。現場はいま、出演しているこっちが呆れるほど過敏になっている〉
それを受けて、私は当コラムでこう書いた。
〈テレビでは「キレやすいおやじ」として世相に毒づいている梅沢さん。あれは半分以上「演技」だと思っていたのだが、どうも本気で怒っているらしい...計算づくで、あるいは逆に見境もなく怒っているのではなく、彼なりに「怒るべき理由」があるようだ〉
基本的には場の空気を読んでの芸だが、たまに本気でキレる。カメラのフレームから外れた私生活も同様...演技のようでいて、そこに本音もにじむ。
そのへん、あえて曖昧にしているのも「営業戦略」ということなのか。
冨永 格