開催中止したら...気になる契約内容
世界がコロナ禍にもかかわらず、どうしてIOC幹部は開催に向けて突っ走っているのか。大きな理由とされているのは、テレビの放映権料だ。中止になると、何千億円という収入を失う。できる限り開催したい、というわけだ。
仮に、日本が開催中止を決断すると、多額の賠償金を払わざるを得なくなるとの見方もある。契約内容をめぐって様々な解説が行われているが、はっきりしたことはわかっていない。そのあたりを見越してIOCは強気なのだ、という解説もある。
IOCの五輪収入の一部は、やや地味な競技の助成金にも回る。したがって、コロナ禍でも可能な限り五輪開催を希望する、という競技団体は少なくないとも言われる。
19世紀末に始まった近代オリンピックは長年、アマチュアスポーツの祭典だった。しかし、大会が大掛かりになるにつれ、国家の威信をかけたものになる。
戦後、ソ連に代表される旧社会主義国が国を挙げてスポーツ強化に取り組み、好成績を残すようになった。いわば国費育成だ。さらに1976年のモントリオール五輪が大赤字だったこと、五輪での成果をスポーツ用品メーカーが競うようになったこと、テレビから放映権料が取れるようになったこと、などから商業化が進む。92年のバルセロナ大会あたりからプロ選手の参加も広がった。
アマチュアスポーツの祭典は、プロも含めた巨大ビジネスに。今や五輪は、大手広告代理店が何年も前から深く関わり、カネにまつわる運営全般を仕切る。