さまざまな混乱がある中で、新型コロナウイルスの高齢者ワクチン接種が進んでいる。今後一般にもワクチン接種が急ピッチで広がることになりそうだが、心配なのは副反応。どの程度なのか。
また、ワクチンの予約や接種に絡んで時短をしたり、仕事を休んだりすることはできるのだろうか。
接種翌日や2回目に注意
日本のワクチン接種は、まず米ファイザー社製でスタート。2021年5月末から新たにモデルナ製ワクチンの使用も始まった。ファイザー社製は約9700万人分、モデルナ社製は約2500万人分の供給を見込んでいる。
6000万人分を見込む英アストラゼネカ製のワクチンは、頻度は極めて低いが、海外で接種後に血栓ができる事例が確認されており、公的接種に使うことは当面見送られる。
接種後の副反応については、日本を含めて各国で様々な報告がある。京都大学iPS細胞研究所・山中伸弥所長が運営するウェブサイト「山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信」によると、内外の調査結果は同じような傾向だという。
米国で、約166万人の被接種者の副反応をまとめたCDC(米疾病対策センター)の論文によると、副反応は接種翌日に現れることが多い。
「1回目接種においては、接種部位の疼痛が約65%、倦怠感、頭痛、筋肉痛が約20%に、悪寒や発熱が約7%に報告されています。2回目接種においては、接種部位の疼痛は約65%に、倦怠感、頭痛、筋肉痛が約40%に、悪寒や発熱が約20%に報告されています。65歳以上と65歳未満を比べると、65歳以上の方がいずれの副反応の発生頻度も低かったと報告しています」。
山中さんは、「単純比較はできませんが」と断りつつ、2009年の新型インフルエンザに対する不活化ワクチン(1回接種のみ)の調査結果も紹介している。それによると、同様の研究では、発熱、倦怠感、頭痛は、それぞれ3.1%、19.0%、14.1%に認められたという。この時のインフルエンザワクチンよりは、副反応があるようだ。