「ねとらぼ」副編集長に聞きました ヒット記事連発を支える「哲学」(後編)

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「あの、ねとらぼだしな」と思ってもらえるユルさ

   ねとらぼツイッターの投稿は、99%が記事紹介だ。(1)ライターの感想や、読者の感情に訴えかける10文字前後の説明文、(2)タイトル、(3)URL、を基本形として、所属する編集スタッフ約30人それぞれが書いた記事をツイートしている。 (1)で、前述した「タイトルに入れられなかった要素」を語る場合もある。

   内情を知らなければ、1人の専任担当者が全投稿を作っているように見えるほど、ツイートのスタイル、文章の柔らかさ、情報量といった各要素が揃っている。マニュアルがあるのか。池谷さんは「それが、そういったものはないんです(笑)」と話した。

   ただ、根幹である「媒体のトンマナ」が一貫しているため、「自然と各スタッフのツイート内容もブレないのだと思います」。専任担当者がおらず、かつ複数人がツイートできるため、スタッフの入れ替わりがあっても運用に影響が出ず、後任のツイッター担当を決める必要に迫られない。

   一方で、中の人が見える「ゆるいツイート」をする難しさを感じているという。メディアアカウントである以上、主役は記事ツイートであり、フォロワーが欲しているのはニュースだと考えられる。フォロワーに煙たがられない程度に、人間味が伝わる投稿を増やすにはどうすればいいか、悩んでいるそうだ。

「普段から『良い意味でゆるい、意識の低い』印象を与えることで、ちょっとしたミスをしてしまったときに『まあ、あのねとらぼだしな』とお目こぼししてもらえる、おいしいポジションを保ち続けたいからです(笑)」

   ねとらぼツイッターでは、投稿内容に誤字や脱字があったとき、記事URLがリンク切れしていたときなど、ミスが発覚した場合にスタッフを「おやつ抜きの刑」にすることがある。昨今では投稿に誤りを見つけたユーザーから「リンク切れだけど、これはおやつ抜きの刑ですかね?」といったイジりが、リプライが寄せられるほど、和やかな雰囲気が出来上がっている。

   池谷さんは最後に、ツイッターにまつわるトリビアを教えてくれた。今では当たり前になっている文化を、ねとらぼが新たに作りだした話だ。

「ツイッターで一般ユーザーが投稿した画像を、メディアが取り上げたいときに、『使わせてもらえませんか』とリプライやDMで許諾を取るのが一般的になっていますが、ツイッターのサービス開始当初は見られませんでした。その『ユーザー許諾依頼』のパイオニアが、ねとらぼだそうです。『ホントか?』と思ったのですが、以前Twitter Japanの方と話したときにそう言っていたので、多分ホントなんでしょう(笑)」

(J-CASTトレンド編集部・藤原綾香)

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