「ねとらぼ」副編集長に聞きました ヒット記事連発を支える「哲学」(前編)

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混沌期乗り越え、「白ねとらぼ」化

   ねとらぼは、サイトのカラーやトーンが一貫している。だが、2014年まではサイトとして「方針が定まらず、混沌としていた」。当時在籍していたスタッフの中でも意見が割れて、池谷さんは「どちらかというと『まとめサイト』のような、炎上ネタでも何でもござれの、攻めた場所にした方がよいのではと考えていました。いわゆる、『黒ねとらぼ』と言いますか(笑)」。

   だが、結果として編集部は、「しっかりとした取材を通じ、責任を持って読者に事実を届けるニュースサイト」へ舵を切った。池谷さん曰く、「白ねとらぼ」だ。きっかけの一つが、14年11月に制定した「ねとらぼ憲章」。編集部の行動指針が曖昧で、不統一な状況を見かねた会社の上層部から「憲章を作るよう、指示を受けた」背景がある。

   憲章は、「読者にとって有益であり『誰得』な、ありとあらゆる情報を編集部の独自の視点と良心をもって広く正しく迅速に伝えることを目的」として、「読者のためにある」「裏を取り検証しデマを拡散しない」「著作へのリスペクトを忘れない」「良心に従う」など、7項目から成る。憲章の制定や、スタッフ間の議論を通じ、「まとめサイト」ではなく、企業として「信頼できるニュースサイト」を運用すると決めた。

   池谷さんは「『黒ねとらぼ』としてやっていった方が、短い期間で爆発的な成果を上げられたでしょう。ですが、サイトとして長く維持するのが難しかっただろうとも思います」と語る。PVをはじめ、諸々の数字が上がるまでに時間を要したものの、「結果的に白ねとらぼになってよかった。黎明期からの数年で、媒体のカラーは読者によって決まるのだと感じました」。

「かつては『炎上リスクがあるが、目先のPVを稼ぐために扱わざるを得ないネタ』をどうすべきか困ることがありました。その頃から進化を重ね、危ない橋を渡らないと目標を達成できない環境から脱したので、『ここまでやってしまってもいいものか』と悩まなくなりました。堂々と誰にでもシェアできる記事作りを追求し続けています」(池谷さん)

(J-CASTトレンド編集部・藤原綾香)


   後編では、記事の見出しや本文へのこだわり、「ねとらぼ公式ツイッターアカウント」を取り巻く現状と、フォロワーとの信頼関係を構築するために行っている工夫についてフォーカスする。

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