COCOAや予約システムでは不具合
アプリは、東京五輪で海外からやって来る人たちの入国手続きに役立てられるはずだった。観客受け入れ中止が決まり、本来の目的を失った今も、巨額の資金を投じて開発を続ける意味はどこにあるのか。
ITジャーナリストの井上トシユキ氏はJ-CASTトレンドの取材に対し、今後の開発の中止は「あり得る」と指摘する。大会の開始は7月。直前の今の時期に予算と機能について検討や調整を行っているということは、アプリの開発は実態としては停滞しており、政府は開発中止も視野に入れているのではないかと推測した。
オリパラアプリの必要性については「最初からいらないと思っています」。すでに類似したシステムとして接触通知アプリの「COCOA」が存在する。大会中の新型コロナウイルス陽性者の接触確認や感染対策として新たにアプリを作るのではなく、COCOAをしっかりと運用すればよいとの考えだ。
感染対策をめぐって開発されてきたシステムにはオリパラアプリのほか、COCOAや「大規模接種センター」の予約システムがある。ただ、いずれも不具合の報告が続出している。政府主導のシステムでなぜこのような問題が発生するのか。井上氏は、厚生労働省といった発注側が「よくシステム開発のことをわかっていない」ことが原因だと指摘する。
システム開発にあたり、通常は何のために開発するか大きな目標を定め、具体的な指標を決めていく。政府主導のシステムでは、こうした目標設定が曖昧なまま開発が行われているのではないかと推測した。特にオリパラアプリについては大会自体が開催されるかも不透明な部分があり、アプリ開発の目標設定に影響が出ているのではないかと述べた。