近畿や九州地方で、活発な梅雨前線の影響により激しい雨が降った。雨とはいえ、河川の氾濫や土砂災害などの危険もあり、こまめな情報確認が重要だ。
ただ、テレビやインターネット上で避難情報を確認する際に注意したい点がある。災害対策基本法の改正に伴い、大雨などの災害時に自治体が発表する避難情報が2021年5月 20日から大幅に変更になったのだ。警戒レベルの内容が変わり、これまでとは違った危機意識をもつ必要がある。
「危険な場所にいる人は全員、避難が必要」
近畿地方では21年5月21日、梅雨前線に暖かく湿った空気が流れ込み、局地的に激しい雨に。とくに大阪では、21日朝8時までの24時間で190ミリの大雨を記録。5月としては観測史上最も多い雨量となった。
この雨の影響で、大阪や京都、和歌山、岐阜、愛知、熊本など幅広い地域では「避難指示」が発令された。ツイッターには、朝から避難指示のアラートで目が覚めた、びっくりした、と驚く書き込みも見られた。避難情報で変更になったのは、この点だ。
これまで、避難情報の警戒レベル4では「避難勧告」と「避難指示」の2種があったが、今回「避難指示」に1本化された。これは、
「危険な場所にいる人は全員、避難が必要」
という意味だ。従来の「避難勧告」のタイミングで「避難指示」が出ることになるため、より一層、日頃からすぐに避難できるような備えが必要となる。
「避難勧告」という言葉は以前から台風の発生時などに多く見られたが、避難して良いのか、自宅にとどまるべきか、判断が難しかった。今後は警戒レベル4が出たらためらわずに避難しよう。
また、警戒レベル3ではこれまで「避難準備・高齢者等避難開始」とされていたが、「高齢者等避難」に変わった。内閣府によれば、これは高齢者以外の人でも、必要に応じて避難の準備をし、危険を感じたら自主的に避難するタイミングだとしている。
1976世帯に避難指示も、集まったのは最大12世帯
ただ、2021年5月21日付の日本経済新聞(電子版)の記事によると、福岡県うきは市では一時1976世帯に避難指示が発令されたが、避難所に身を寄せたのは最大12世帯だった。
まだ変更されてから1日しか経っておらず、さらに、新型コロナウイルスが流行する中での避難となればためらう人もいるのかもしれない。
避難所では衛生状態の維持が重要だ。厚生労働省は公式サイト上で、「災害時における避難所での感染症対策」を公開している。基本的な手洗いや咳エチケットのほか、流水で手洗いができない場合は、アルコールを含んだ手指の消毒薬を使用するなどの工夫も必要となる。
感染しないよう対策をしつつ、まずは身の安全を第一に考えて行動しよう。