村上春樹さんがクラシック音楽の初エッセイ LP レコード約470枚をカラーで紹介

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   音楽に詳しいことで知られる作家の村上春樹さんが、クラシック音楽についての初エッセイ『古くて素敵なクラシック・レコードたち』を2021年6月末、文藝春秋から刊行する。クラシック音楽のLP レコード約470枚をカラーで紹介しながら曲への思いなどを語っている。

  • 村上春樹さん初のクラシックについての単著『古くて素敵なクラシック・レコードたち』
    村上春樹さん初のクラシックについての単著『古くて素敵なクラシック・レコードたち』
  • 村上春樹さん初のクラシックについての単著『古くて素敵なクラシック・レコードたち』

作品には3000曲以上が出てくる

   村上さんは無類の音楽好きで知られる。20代のころは、自らジャズ音楽の店を経営していた。デビュー作『風の歌を聴け』には早くもタイトルに「音楽」の香りがする。代表作の『ノルウェイの森』はビートルズの名曲にちなんでいる。短編小説集『1963/1982年のイパネマ娘』はボサノバのスタンダード曲の名からとっている。

   『1Q84』では、冒頭でタクシーのラジオから、ヤナーチェクの『シンフォニエッタ』が流れる。この曲は一躍有名になり、一時CDが売り切れ状態になった。『ノルウェイの森』にはタイトル以外に何曲かビートルズの曲が出てくる。

   研究者によると、これまでに発表された作品には合わせて3000曲以上が登場するという。ジャズ、ロック、クラシックなどジャンルはきわめて幅広い。

   村上作品は多くの言語に翻訳されている。したがって、読まれる時の文章は翻訳の影響を受ける。だが、作品に登場する音楽は、翻訳できない。いわば言語の壁を乗り越える「共通言語」となっている。音楽の持つそうした特性を早くから強く意識し、作品の重要な装置や通奏低音としてきたのが村上さんだ。

   そんなこともあって、日本人作家としては異例なほど、グローバルな作家とし、世界各国の読者から支持されてきた。

LPレコードで音楽を聴いた最後の世代

   村上作品と音楽については、すでに研究者による『村上春樹の100曲』 『村上春樹を音楽で読み解く』などが出版されている。 加えて村上さん自身も音楽そのものに関する書籍を何冊か出している。

   和田誠さんとの共著のジャズエッセイ『ポートレイト・イン・ジャズ』『ポートレイト・イン・ジャズ 2』、和田誠さんとの訳詩集『村上ソングズ』、音楽エッセイ『意味がなければスイングはない』、小澤征爾さんとの対談集『小澤征爾さんと、音楽について話をする』などがあるが、クラシックについての単著は初めてだという。

   村上さんは1949年生まれ。主としてLPレコードでクラシック音楽を聴いた最後の世代だ。当時はまだ、20世紀のクラシック音楽界を代表するような偉大な指揮者や演奏家の何人かは存命だった。彼らの演奏を聴きながら村上さんは何を考えてきたのか。なぜ作品にその曲を登場させたのか。村上作品のファンだけでなく、クラシック音楽関係者にとっても興味をそそられる一冊となりそうだ。

   価格は2530円(税込み)。

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