東京都新宿区は、高田馬場駅の駅前広場を2021年5月19日に封鎖した。広場内での「路上飲み」への対策が目的。近隣には早稲田大学や東京富士大学がある。若者が集って路上飲みを行う光景も多くみられる広場だ。
この広場をよく利用している複数の学生に心境を聞いた。
注意しても路上飲みをやめない人
新宿区の松田浩一・危機管理担当部長に取材したところ、同区では警察などと協力し、ゴールディンウィーク前後に高田馬場、新宿三丁目、新大久保、神楽坂で見回りを実施。緊急事態宣言による休業要請に応じていない居酒屋や、路上飲みに対して注意喚起を行った。
高田馬場駅前の広場は特に路上飲みの件数が多く、約100人が飲酒していたときもあったという。また注意を行っても路上飲みをやめないケースもみられ、やむを得ず封鎖を決定したとの話だった。今後、飲食店に時短要請が発出されている間は封鎖を続ける方針だ。
封鎖の前日にも駅前広場で路上飲みを行っていたという大学3年生の男性に取材すると、「(封鎖は)仕方がないという気持ちもありますし、また飲める場所が制限されるのかと納得いかない気持ちもあります」と話す。
コロナ禍の前から男性や周りでは広場で路上飲みを行うことが多く、ほかにも遊びの待ち合わせや、飲み会後にひとまず集まる場所として利用してきた。休業要請により居酒屋が閉まるようになったため、広場で飲むことは4月には増えていたという。今後は休業要請に応じない居酒屋を探すか、近隣の公園で飲むことを考えていると明かした。
「ようやく大学生活が始まってきた」が
20年4月に入学した早稲田大学2年生の男性によると、21年4月から5月にかけてはサークルの先輩に誘われ、広場で路上飲みに参加することが多かったという。
1年生の間は原則として授業はオンラインとなったが、21年4月からは対面授業が始まったため人に会いやすくなり、飲み会や待ち合わせで広場を利用するように。封鎖について、「ようやく大学生活が始まってきた感じがしていたので、少し寂しい気持ちがあります」。これからは、近隣の公園で飲み会を開くことを考えているという。
一方で、早大4年生の男性は「封鎖されてもしょうがないと思います」と語る。4~5月はサークルの新入生勧誘シーズン。広場内で路上飲みを行う人は増え、広場の外の歩道にまで若者がはみだす光景もみられたとのこと。
自身も4月は広場で友人と数回路上飲みを行っていた。封鎖を受け、今後路上飲みを行う気はあまりないという。飲酒の際は「友人の自宅などで飲むと思います」。
一方、広場の外の歩道は封鎖されていないことから、そこで路上飲みを続ける人はいるのではないかと、この学生は推測した。