内向的で自己表現が苦手な人が心配
緊急事態宣言が、各地に広がっている。飲食店の営業は20時まで、酒類の提供も厳しくなった。こうした状況で、「もう我慢ならない」と、路上で飲酒する人の姿や、街に人が集まる様子が度々報じられる。
しかし、古田氏は「そのような人はテレビ映像では目を引きますが、少数派。おそらくストレス疲れで、心身の不調を抱えつつ何とか静かにやり過ごしている人のほうが多い」と指摘する。内向的で自己表現が苦手な人ほど、一人でため込みやすい。
問題はここだ。こうした「声なき声」の存在には気付くことが難しく、カウンセラーや精神科医もアプローチがしにくいのだ。
そのため、まずはメディアが「ストレスや不調を感じるのはむしろ自然なことで、否認せずに違和感を違和感のままに表出できるといい」と、埋もれている人に届くよう広く情報発信していく必要性を古田氏は指摘する。
次に、何とか静かにやり過ごしている人は、日常の中に「表現と共感の場」をもつのが重要だという。「つらい、しんどい」という感情を、誰かと共有する時間だ。ネガティブな感情を無理にポジティブにとらえるのは難しい。だが、ネガティブさを分かち合い、共感し合うことで肯定感が得られ、ストレス下でも耐えられるようになる。
表現と共感は、平たく言えば、「親しい人と愚痴を言い合う」ことでもある。