東京五輪「再延期」あり得るか 立ちはだかるカネの問題、来年は北京冬季五輪も

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   東京五輪の開会式まで、あと2か月あまり。国内では新型コロナウイルスの感染に歯止めがかかっておらず、一部の政治家やインターネットユーザーからは五輪中止や再延期を求める動きも出ている。

   大会関係者は、今夏の開催へ向けて準備を進めている。再延期の可能性をスポーツライターに取材すると――。

  • 五輪再延期の可能性を探る
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組織委の人件費がもう1年必要

   5月7日の衆議院議院運営委員会の中で、立憲民主党の泉健太政調会長は東京五輪の延期か中止を行うよう提言した。また国民民主党の玉木雄一郎代表は5月13日、医療関係者を含む第三者機関を設置し、予定通り7月に開催できるかを検証すべきだと定例記者会見で主張。開催が難しいと判断される場合には、再延期を決めるべきと述べた。

   朝日新聞デジタルが5月17日付で報じた東京五輪開催に関する世論調査の結果では、「中止」が最も多い43%で、「再び延期」が40%と続いた。「今夏に開催」は14%だった。

   スポーツライターの小林信也氏は、再延期の可能性は低いと考える。会見などを見る限り、様々な問題を乗り越えてまで再延期する意欲は、五輪・パラリンピック組織委員会からは「今のところ、見られません」。

   延期する場合、組織委の構成員による人件費がさらにもう1年必要となる。選手村への対応、会場の手配をめぐる問題も存在する。

   五輪の各競技場は、大会終了後は展示場といった他の目的に使う予定のところが多い。再延期で会場としての維持費が発生する上、再延期に合わせた日程の調整も容易ではない。ほかに、組織委が拠点とするビルの契約期間も再調整が必要になる。

   大会の中止や再延期に関する決定権はIOC(国際オリンピック委員会)にあるが、IOC側にも延期という選択肢は上がってきていないと小林氏は分析する。

   まず、他の競技大会の日程が障害となる。すでに東京五輪が1年延期したことで、21年7月開催予定だった世界陸上選手権が22年7月にずれ込むなどした。さらにもう1年延期となると、また新たな調整が必要だ。「IOCが(再び)そこまでするのかな」と疑問を呈した。

放映権持つテレビ局「無観客でもいい」

   各スポンサーの意向もある。メインスポンサーであり、五輪放映権を持つ米三大ネットワークのひとつ、NBCは現状の開催には反対していないという。「たとえ無観客でも放送さえできればいいという姿勢」である限りは、IOCは今夏開催するつもりなのではないかと小林氏は推測した。

   これらを踏まえたうえで、五輪を1年延期する必要性や意義、今後発生する費用や各調整を踏まえ、IOCや政府、国民の間で適切な議論を行うことができるのであれば、「1年後(への延期)という選択肢はあってもいいと思います」。

   五輪・パラリンピック組織委員会の武藤敏郎事務総長は、4月28日の記者会見の中で、五輪の再延期について「無理ではないか」とする私見を述べた。理由として、22年には北京冬季大会、24年にはパリ大会を控える中、どの時期に開催するかという問題や、アスリートのモチベーションの維持、選手村の確保の困難さといった点を挙げた。

   さらに、加藤勝信官房長官は5月17日の記者会見の中で再延期への意向を質問されると、IOCが20年3月にすでに大会の日程を決定していることに言及し、「大会関係者一丸となって準備に取り組んでおられるところであります。政府としても連携をしながら対応させていただいている」と話した。

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