「Gravity」という独自の雰囲気を持つSNSを知っているだろうか。「癒されるやさしいSNS」を掲げているこのアプリでは、他人のフォロー・フォロワー数を確認できず、投稿の検索機能もない。「平和な世界観」が感じられるサービスだ。
ユーザーを「星」と表記し、宇宙をイメージしたデザインの「Gravity」だが、どんな人が利用しているのだろうか。記者も「星」として登録を行い、どのようなSNSなのか体験してみた。
平和な雰囲気、気軽に使える
まず登録時には心理テストのような性格診断を行う。「出発するならいつがいい?」に対し明け方か夜更けを選ぶなど、何を診断されているのかつかみどころのないテストだ。性格は「外的性格」と「内在的性格」で表示され、「リーダー」「お調子者」「守護者」「ヒーロー」などが存在する。
登録を終えると、まだ誰もフォローしていないのに様々な投稿が流れてきた。仕事が上手くいかない、バイトに受かった、ダイエットの効果が出てきた、というような「星」たちのつぶやきが次々と表示されていく。言い争いをしている「星」は見られず、全体に平和な雰囲気だ。
アイコンは20種類存在する。自撮り写真など、自分で持っている画像を使うことはできない。個性は出づらいが、日常の出来事や趣味について投稿する分には問題はない。
検索機能はない一方、自分のプロフィールに趣味の「タグ」を登録すれば、同じ趣味のユーザーを見つけられる。記者も好きなコミックやゲームのタグを登録し、趣味が合いそうな人をフォローしていった。
他人のフォロー・フォロワー数は確認できないので、「この人、フォロー数に比べてフォロワーが少ないな」と思われてしまうのではないか、と心配する必要がない。日常で感じたことなどについて気楽に書き込むと、投稿が流れていったのか、フォロワーでない「星」からも「いいね」の反応をもらえた。
匿名だが反応をもらいやすい
他人のフォロワー数が確認できなかったり、性格診断を求められたりと、ミステリアスな部分もあるSNSだ。
「Gravity」の運営元に取材すると、性格診断を活用することで、相性の良い「星」の投稿が流れてくるように設定していると運営担当者は話す。
またフォロー・フォロワー数が見られないのは、「フォロワーの目を気にして思ったことが投稿できない」といった「SNS疲れ」に着目して開発したからだ。好きに自分の思ったことや感じたことを投稿できる場を提供するため、「Gravity」は生まれたという。
「Gravity」という名称は、重力とともに「引力」という意味も意識し、「共感した星(ユーザー)同士が引かれ合うことをイメージ」しているとした。
アイコンが限られていることにより、個人の特定は難しいという。「会社行きたくないな」「ラーメン食べたい!」といった投稿も気軽にできるが、「同じ性格のユーザーに投稿が見られるため、反応ももらえやすいのが大きな特徴です」と担当者は語った。なおアプリのリリースは20年12月で、ダウンロード数は30万件を超えているとのこと。