カス丸 はーい、ぼくカス丸きゃすう。先週の3歳マイル王を決めるNHKマイルカップは、ガジュマル爺が◎△▲で3連単当てたじぇい。これで2週連続の的中きゃすう。今週は同じコースで牝馬のマイルチャンプを決めるヴィクトリアマイル(2021年5月16日、東京競馬場、芝1600メートル)だじぇい。絶好調の爺の本命◎は1番人気が予想されるグランアレグリアきゃすう。
グランアレグリアは疲れがとれたのか
ガジュマル爺 カス丸、競馬は強い馬を選んでいれば当たるもんなんじゃ。ちょっと欲を出して奇抜なことを考えるからはずれるんじゃ。東京のマイルコースで何が一番強い牝馬か。これが今週の問題じゃ。グランアレグリアは1200~1600メートルにかけては牡馬を含めて実力ナンバーワンであることは競馬を少し知っておれば、誰でも異論がないところじゃろ。前走の4月にあった大阪杯(GI、阪神、2000メートル)は、2番人気に推されながらも4着じゃった。これは敗因がハッキリしておる。まずは4か月の休み明けの初戦だったこと。次に、雨が降ってる中で、ぐちゃぐちゃの重馬場を走り、自慢の差し脚を封じられたことじゃ。もう一つは、やはり初めての2000メートルという距離がこの馬にとっては長かったということじゃろ。しかし、昨年(2020年)は4戦したレースが1200メートルと1600メートルだけじゃ。しかも4戦ともすべてGI。3月の高松宮記念(中京1200メートル)は重馬場じゃったが、後方から鋭い末脚で2着。圧巻は6月の安田記念(東京、1600メートル)であのアーモンンドアイを封じ込めて優勝。10月のスプリンターズステークス(中山、1200メートル)、11月のマイルチャンピオンシップ(阪神、1600メートル)とも圧勝じゃった。アーモンドアイが引退し、この距離に今やライバルがおらんのじゃな。今回は牝馬限定戦のうえ、王者が得意とする距離、コースを使ってくるのだから、単勝1倍台だろうが発馬で多少出遅れようが、落馬でもしない限り負けるはずがないじゃろ。
カス丸 ふーん、久しぶりに鼻から息が噴き出すほどの自信たっぷりの演説だじぇい。でもカスヨ姉さんの本命◎は違って、サウンドキアラきゃすう。去年2着だった馬だじぇい。
カスヨ 穴狙いのわたしはグランアレグリアは押さえ△よ。これまでの実績は認めるけど、4月にあんな道悪の中をしかも初めての長い距離を走ったんだから、ふつうの馬なら絶対に反動があるわ。それにもう5歳なんだから、1か月ちょっとで疲れが取れるとはとても思えないのよね。そもそもこの馬はね、ローテーションを長くとらないとダメなのよ。1年に3、4回しかレースしないでしょ。3歳の時のNHKマイルカップがいい例よ。2019年ね。4月7日に桜花賞があり、勝利して中3週で臨んだのよ。そしたら最後の直線で斜行して他馬を妨害、4着入線が5着に降着になったわ。斜行するというのは、馬が苦しいからなのよ。この時も疲れが残っていたということね。最終の追い切り(調教)がどんなによく見えても、本番のレースは別なのよ。このときに次いで間隔が短かったのが、去年秋のスプリンターズステークスとマイルチャンピオンシップね。ここは中6週だったわ。結果は両方とも勝ったんだけど、距離が短いのと両方とも良馬場だったわ。今回はそれより短い中5週よ。アーモンドアイもレース間隔を長くしないとダメな馬だったけど、こういうパフォーマンスが抜け出た馬は似てるところがあるわね。アーモンドアイは去年ヴィクトリアマイルを勝って、中2週という強行軍で安田記念に出たのよ。そしたら案の定、スタートも悪いし最後の末脚も伸びず2着に負けたわ。グランアレグリアも絶対疲れが残ってるはず。あのレースで同じように激走して勝ったレイパパレの次走はなんと6月末の宝塚記念よ。それくらい間隔空けないとムリなのよ。一緒に走った無敗三冠馬コントレイルもやはり宝塚記念なのよ。それに爺は末脚自慢を強調するけど、グランアレグリアの上り(最後の600メートル走破タイム)は、時計自体は決して超速というほどでもないのよね。32秒台で走ったことがないのが証拠よ。東京では去年の安田記念の時が最も速くて33秒7よ。この時は稍重の馬場だったんだから割引がいるけど、アーモンドアイは東京で32秒台で走ったことがあるからね。グランアレグリアの末脚が速く見えるのは、急坂があっても多少馬場が緩んでも速さが鈍らない、つまりパワー型だという点ね。東京は最後の直線に入ったところに坂があり、その後、ゴールまでの400メートルくらいは平らよ。それに東京は良馬場で軽い芝になりつつあるから、スピード比べだけなら負ける可能性もあるわね。タイムだけならデゼルは東京で32秒5を記録しているし、マジックキャッスルもこの間の阪神牝馬で32秒4よ。というわけで、爺がグランアレグリアが簡単に勝てるみたいなことをいうから反論しておくわ。わたしの本命馬サウンドキアラは去年アーモンドアイの2着だったわね。このレースはともかく昔からリピーターが多いのよ。過去10年を見ても、ホエールキャプチャ、ヴィルシーナ、ストレイトガール、ジュールポレール、ノームコアと前年で馬券に絡んだ馬が人気を落としながら馬券に絡むことが多いのよ。サウンドキアラは前走GIの高松宮記念を走ったんだけど、初の1200メートルで速い流れへの対応に苦しんだわ。今回、得意の1600mに戻って道中の追走が楽になる点は追い風になるわ。ここんところ復調気味でもあるし、人気も落ち込むことが見込まれるから、今回が絶好のねらい時よ。
カス丸 ふーん、ヴィクトリアマイル特有のなにかがあるということきゃすう。カスヨさんは対抗〇も穴馬ディアンドルだじぇい。この2頭がきたら、相当な配当になるきゃすう。
カスヨ そうね、でもディアンドルは大穴というより元々将来を見込まれた馬だったのよ。未勝利戦から3歳重賞の葵ステークスまで1200m戦を5連勝もした快速馬よ。ところがその後、成績が低迷してしまい、「終わった」と思われていたのね。ところが、今年の小倉大賞典で団野大成騎手が手綱を取ると馬が一変して、人気薄ながら2年ぶりに3着よ。そして前走も7番人気ながらに新潟で行われた福島牝馬ステークスで久しぶりの勝利を飾ったわ。見事な復活よ。底力は全然失われてなかったのよね。逃げにこだわらず、番手でも競馬ができる強みもあるし、1番人気が想定されるグランアレグリアと同世代ながら一度も対戦をしていないところも未知の魅力を感じるわ。いまの勢いそのままに一気に頂点まで上るかもしれないわね。
カス丸 そんなにうまくいくきゃすう? GIの壁に跳ね返されないように頑張ってほしいじぇい。爺の対抗〇はテルツェットだじぇい。上がり馬きゃすう。
ガジュマル爺 この馬は4連勝中じゃ。「連勝中のディープインパクトの仔は買え」といわれるように、勢いは無視できんぞ。しかも4連勝の中身はすべてマイル戦じゃ。東京コースの勝利も2度。得意な距離、得意なコースじゃ。今回人気となるレシステンシアやマジックキャッスルと同じ4歳馬じゃが、まだ底を見せておらん馬じゃ。前走はダービー卿チャレンジトロフィー(GIII、中山、1600メートル)。初の重賞挑戦じゃったが、3番人気。向こう正面を後方からレースを進め、4コーナー8番手から、直線で2着のカテドラル(牡馬5歳。3歳時にNHKマイルCで3着)に1馬身差をつけて一気に差しきった。2着馬を含め、ボンセルビーソ(3着)やマイスタイル(4着)、スマイルカナ(14着)といった重賞での常連メンバーを打ち負かした上昇度はメンバー中1番じゃ。鞍上のミルコ・デムーロ騎手で一発を狙えるじゃろ。
カス丸 ヴィクトリアマイルは荒れるときはトンデモなく荒れるレースだじぇい。6年前には5番人気、12番人気、18番人気で決着して、3連単がなんと2000万円を超えたこともあるきゃすう。今年、大穴をあけそうな馬はいるきゃすう?
大穴は近走低迷の「高素質馬」の復活!?
カスヨ わたしは本命、対抗に人気薄の馬を持ってきたから、あとは中穴かしらね。まずはリアアメリアね。2歳のデビューしたころは、世代最強とまで言われていたんだけど、2歳牝馬チャンピオンを決める阪神ジュベナイルフィリーズ(JF、GI、阪神、1600メートル)で敗れて以降、ローズステークスを勝ったのみで、人気を裏切り続けているわ。でも左回りではすべて掲示板に載っていることと、重賞も2勝を挙げてるから、一発があるとするとこのレースかもしれないわね。牝馬限定のGI完全制覇に王手をかけているユウイチちゃん(福永祐一騎手)にも期待するところ大だわね。この馬も東京で上がり33秒フラットを記録して軽い芝を得意としてるはずだから、今回は16番の外枠に入ったこともあるから中途半端に先行するより思い切って後方から一気にスパートさせる競馬をすると面白いかもよ。もう一頭は、ダノンファンタジーよ。この馬は2歳牝馬チャンピオンなんだけど、切れ味が弱いため、末脚勝負となると分が悪いのね。去年も5着と成績は悪くないんだけど前々につけてなんとか粘ってほしいわね。
ガジュマル爺 わしは人気の一角になるじゃろうが、レシステンシアじゃ。阪神JFをレコード勝ちして以来、ずっと逃げの戦法をとってきたんじゃが、前走の高松宮記念(GI、中京、1200メートル)で控える競馬に出たんじゃ。どうかなと見ておったんじゃが、4コーナーを7番手で回り、直線でいったん先頭に出たんじゃが最後は僅差でダノンスマッシュ(牡馬5歳)の2着じゃった。このレース運びができるようなら今回は楽しみというもんじゃ。なぜなら逃げしかないとなると、今回は同型にスマイルカナ、クリスティ、イベリスほか何頭もおるから、先頭争いでケンカになり、そこで消耗してしまうんじゃが、控える競馬ができれば先行争いを見ながら脚も溜められるじゃろ。18番の大外枠に入ったし、そのほうがええはずじゃ。体重も1年前より30キロも増えて筋肉モリモリ体形になったし、楽しみというもんじゃ。休み明け3戦目のローテ―ションも買える材料なのと、なんといっても鞍上に武豊騎手を迎えたことが大きいはずじゃ。グランアレグリア打倒の一番手はやはりこの馬になるかもしれん。次はマルターズディオサじゃ。レシステンシアのライバルとして走ってきた馬じゃな。2000メートルのGIII紫苑ステークス(中山)を勝ちがあって、中距離もこなすんじゃが、やはり1400~1600メートルが合う馬じゃ。過去のヴィクトリアマイルを見ればわかるが、穴馬はどれも逃げ・先行勢から出ておるんじゃ。その脚を持つディオサが、前走の高松宮記念を叩いての今回適距離じゃから激走が期待できるじゃろ。関東の実力派ジョッキー、田辺裕信騎手で臨むのもプラスになるはずじゃ。最後の一頭はマジックキャッスルじゃな。この馬の武器は後方から一気の差し脚じゃ。前走の阪神牝馬ステークス(GII、阪神、1600メートル)では最後の3ハロン(600メートル)を32秒4の最速で上がり、勝ったデゼルをクビ差まで追い詰めた。阪神牝馬Sはヴィクトリアマイルと相性がよく、好走馬はよく馬券になっておるんじゃ。この馬は馬体重が430~440キロとやや小柄だが、とにかく切れる脚があるんじゃ。中距離に良績があるので、スタミナを必要とする東京マイルでも問題なしじゃ。鞍上は、4レースに乗って2勝2着2回と連対(2着以内)をはずしたことがない戸崎圭太騎手への乗り替わりも大きいプラスじゃ。
カス丸 うーむ、グランアレグリアに疲れが残っているかどうかだじぇい。東京は軽い芝で外側を走った馬が勝つレースが増えてるから、ここは東京に実績のあるデゼルが本命◎だじぇい。