日本はなぜワクチン接種が遅いのか 原因をたどると根深い問題が見えた

   新型コロナのワクチンで日本の立ち遅れぶりが目立っている。ワクチンの開発や入手、接種が遅れて、国民に行きわたらない。接種率は先進国では最低クラス。「ワクチン敗戦」までささやかれている。どうしてこんなことになったのだろう。

  • ワクチン接種が遅々として進まないのには、いくつもの理由が
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自力開発できなかった

   時事通信によると、菅義偉首相は2021年5月13日、新型コロナウイルスワクチンの高齢者向け接種をめぐり、7月末完了の目標達成が一部自治体で困難な見通しとなっていることについて、「報告を受けた時、私も実はショックだった」と明かした。

   これには根深い問題がある。すでに多数のメディアが報じている。

   最大の理由は、日本が自力でワクチンを開発できなかったことだ。そのため、海外からの輸入に頼らざるを得なかった。

   世界でいち早くワクチンを開発し、承認に成功したのは、米ファイザー社。昨年12月初めのことだ。独ビオンテック社との共同開発だった。米国ではほかにもモデルナ社、英国もアストラゼネカなどが開発した。だからワクチン接種は、自前で供給できる国が先行した。米、独(EU)、英国などだ。どの国も自国民優先となる中に、日本も割り込み、何とか一定の供給量を確保した、というのが悲しい現実だ。

   英米のワクチンは、自国内だけでなく、実はEUの工場でも製造している。そんなこともあり、英米とEUのワクチンを巡る綱引きも起きている。ロシアや中国も、それぞれ自前のワクチンを開発・供給している。

   菅首相が4月の訪米時にファイザー社のトップと電話会談、直々に日本へのワクチン追加を頼んだのも、こうした事情からだ。

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