コロナ「クラスター発生」が止まらない それでも「非公表」に不安と批判

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19世紀のロンドンよりも劣る

   コロナの感染者数などはどの自治体も公表しているが、細部にわたってきちんとした公表基準があるわけではない。

   東京都の場合、なぜか当初は市区別の感染者数が公表されなかった。23区のどこで感染者が多く発生しているのか、さっぱりわからない。昨年4月1日、読売新聞が「独自ニュース」として、「歌舞伎町で十数人感染」と報じたころから急に市区別情報が公表され、区によって感染者数に相当の差があることが判明、繁華街規制の話が浮上した。

   『わかる公衆衛生学・たのしい公衆衛生学』(弘文堂)によると、19世紀のロンドンは衛生状態が悪く、しばしばコレラが流行した。このときロンドン市は、コレラ死者に対し精密な調査をした。「死亡週報」には、死者の年齢、性別に加え、居住地の標高や、飲料水をどこから得ていたかも記入して公表した。

   いわば、「疫学的」データが蓄積された。当時としては画期的な情報公開だ。医者の一人が、コレラ死者の居住地と井戸の関係について詳細な地図を作成し、「飲料水原因説」が有力になる。コレラ菌の発見は1883年だが、その前の1850年代半ばには飲料水に注意する必要があることが突き止められていた。詳細な「死亡週報」がコレラの原因究明に役立ち、「公衆衛生」の角度からの究明が奏功した。

   日本では今も全国で情報公開の対応がバラバラ。最近も札幌市で5日、プロ野球・北海道日本ハムファイターズのクラスターがわかった。同市保健所は、市内のプロスポーツチームで選手7人、スタッフ3人の計10人が感染したことが確認され、行動歴などからクラスターと認定したと発表したのみ。チーム名は非公表としていたが、読売新聞によると、球団側がクラスターと認定されたことを明らかにしたという。

   東京では変異ウイルスが拡大する中で保育施設のクラスターが急速に増えており、保護者にとっては一段と情報公開が気になる状況になっている。

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