新型コロナウイルス拡大の影響で、婚姻数が急速に減っていることがわかった。2021年2月は前年同月に比べて約4割減。婚姻数は年によって月ごとの変動が激しいので即断できないが、この傾向が続くと、将来的には出生率のさらなる低下につながることになる。
昨年よりも激しい減り方
政府の人口動態の速報値(4月20日発表)によると、今年2月の婚姻数は4万4800件。前年同月の7万4147件から2万9347件も一気に減った。減少率は39.6%と、ざっと4割減になっている。
昨年2月はまだコロナ禍が深刻化しておらず、結婚自体はそれ以前から計画されていたケースが多かった。ところが、今年は年明けからコロナが拡大、緊急事態宣言も出されるなど予断を許さない状況となり、2月段階での結婚を見合わせた人が少なくなかったと思われる。
コロナの影響と思われる婚姻数の減少は、すでに昨年途中から顕在化。年間の件数は、53万7583件。前年から7万8069 件、12.7%も減少していた。
今年1月は久しぶりに微増していたが、2月の落ち込みぶりはきわめて激しい。大幅に減少したのは、たまたま前年2月の婚姻数が多かったことにもよるが、かなり衝撃の数字だ。
「産み控え」も定着
ちなみに昨年の出生数は速報値で過去最低の87万2683人。出生率は、前年に比べて2.9%減。今年に入ってからも、1月はなんと14.6%減。2000年以降で最大の減少率となった。2月も10.3%と二桁の減少が続いている。コロナ禍の「産み控え」が数字としてはっきり出てきたといえる。昨年の婚姻数の減少を考えると、しばらくは出生数が増えないと思われる。
読売新聞によると、すでに21年の出生数について、複数の民間調査研究機関が80万人を割り込むとの試算を公表しているという。
日本の出生数のピークは第1次ベビーブーム(1947~49年)のころの約270万人。それに比べると3割程度に落ち込む。
婚姻数や出生数の減少は直接、住宅や家具、家電需要などの消費経済全般に影響する。急激な少子化は高校、大学などの受験にも関係し、将来的には労働人口の不足、現役世代が高齢者らを支える社会保障制度の弱体化にもつながりかねない。進行中の婚姻数や出生数の低下が一時的なものか、それとも継続するのか、注視する必要がありそうだ。