新型コロナウイルスの新規感染者が、東京都で2021年4月29日、ついに1000人を超えた。多くは感染経路が不明だという。いったいどこで誰から感染したのか――そのヒントとなるような調査結果を、朝日新聞が4月28日に報じている。
感染による症状がないにもかかわらず、ウイルスを多量に持つ人がかなりの確率で見つかったというのだ。「無症状」の人が感染広げる可能性があるということで、改めて注目されている。
無症状でも3割に強い感染性
この調査は、世田谷区が昨年10月から、区内の「無症状」の人を対象に続けているもの。すでにのべ2万人以上を調べている。調査の結果、「無症状」だが、「陽性」とわかるケースもある。
朝日新聞によると、ウイルスの検査は、微量の遺伝子を検出するため増幅させて見つける。少ない増幅回数で検出される場合、ウイルスが大量にあることになり、感染性も強くなるという。
区の委託で分析した慶応大学医学部臨床研究推進センターの西原広史教授は、増幅をどれくらい繰り返したかを示す「Ct値」に注目した。数値が小さいほどウイルス量は多くなる。陽性78件を分析したところ、3割の27件はCt値が小さく、感染性が高いことがわかったというのだ。
西原教授は「感染を広める人を確実に見つけることが急務」と語り、保坂展人区長も、「陽性、陰性だけでなく、感染の強さを知ることが重要。Ct値に注目して効果的な対策を考える時に来ている」と、この調査結果の重要性を強調している。
これまでも「無症状」の人が感染を広げている可能性は指摘されていたが、世田谷区の調査はそれをデータで裏付ける結果となった。