「ここが気に入らない」具体的に言語化を
ストレスを対処するには、まずそのストレスを自覚(認知)する必要がある。しかし、家族に対するいら立ちは認知しにくい、と古田氏。とくに、大切な存在の家族を疎ましいと思ってはいけないと強く感じる真面目なタイプの人は自覚しにくいという。家族をストレスと思いたくない否認の心理が働き、無意識に抑圧されてしまうのだ。ストレスが胃痛や頭痛などの身体症状としてあらわれても、その原因が家族であると自覚できない。
アップリフツがハッスルズに変わる場合があるように、たとえ大切な家族でもストレスになり得る。これを広く知ってもらうために古田氏は、「家族をストレスだと感じても良い」というメッセージを、メディアを通じて心理臨床家が伝えていくことだと考えている。
「家族といるのがストレスと感じた方は、むしろチャンス。ストレス認知ができているので対処が考えられますし、実際に対処行動ができます」。
認知するためには「ここが気に入らない」と具体的に言語化することが非常に重要となる。それには家族と話し合う時間を作ることが有効だが、「これがなかなか難しい」と古田氏。共働きの主婦ともなれば、とくに忙しいだろう。
そこで古田氏は、あえて職場の習慣を自宅に持ちこみ「家族会議」の時間を明確に作ってしまうよう提案する。ホワイトボードを用意し、日頃感じている互いへの思いをぶつけ合う時間にする。
「かっちり時間を決めてルール化するより、議長など役割を決めて遊びながら楽しめると良いですね。イラついた行動があったとして、いざ話をしてみると実は相手には悪気がなかったり、勘違いしていたと気付けたりします」