コロナ禍を先取り
山下和美さんは1980年「週刊マーガレット」でデビュー。主に少女マンガ誌を中心に活躍していたが、「天才 柳沢教授の生活」で「モーニング」に不定期連載を開始。以降、「不思議な少年」など話題作を発表している。受賞の知らせを聞いて椅子から転げ落ちそうになったという。
「ランド」は大災害、放射性廃棄物、格差、老いなど現代的な諸問題を織り込んだ骨太の物語。未知のウイルス出現で都市が封鎖される事態も描いており、コロナ禍の現実を先取りすることになった。山下さん自身もびっくりしたという。この辺りの先見性も評価の一因となったことがうかがえる。
残念ながら特別賞にとどまった「鬼滅」の吾峠さんは、同紙に自身の自画像と受賞記念イラストを寄せ、「全ての方々に深く感謝申し上げます」とコメントしている。
手塚治虫文化賞は、第1回のマンガ大賞を藤子・F・不二雄 「ドラえもん」が受賞したことからも分かるように、マンガ界で最も注目度が高い賞。部門別の受賞もあり、今回は、新生賞に「葬送のフリーレン」(小学館)の山田鐘人(かねひと)さん(原作)とアベツカサさん(作画)、短編賞は野原広子さんの「消えたママ友」(KADOKAWA)と「妻が口をきいてくれません」(集英社)が選ばれた。