スマートフォン「iPhone」の顔認証機能「Face ID」で、マスクを着けたまま端末のロックを解除できるようになった。腕時計型端末の「Apple Watch」が必要で、2021年4月27日のアップデートから対応している。これまではマスク着用時、正常に反応しなかった。
ところで、旧機種「iPhone 8」や廉価版の「iPhone SE」には、指紋認証機能「Touch ID」が搭載されている。こちらは当然、マスクの有無に関係なくロックを解除できる。だが最新版「iPhone 12」シリーズにこの指紋認証機能はなく、再び搭載してほしいと嘆く人もいるようだ。
コロナ禍のFace ID「めんどくさい」
iPhoneのTouch IDは、2013年の「iPhone 5s」以降、17年9月発売の「iPhone 8」までと、20年に発売されたiPhone SEでも採用されている。
一方で、17年11月発売の「iPhone X」以降、主力モデルの認証システムはFace IDに変更され、最新機種の「iPhone 12」も同様だ。これらはTouch IDが使用できない。
iPhoneを約8年使い続け、現在「iPhone XR」を所有している男性は、J-CASTトレンドの取材に対し、Face IDについて「めんどくさいなと常日頃思っています」と語った。新型コロナウイルスの拡大によりマスクを着用するようになったが、Face IDを使用するには電車の中などでもマスクを外さなければならないからだ。
「今後も世界的にマスクの着用が求められるのなら、指紋認証機能を復活してほしい」と話した。
画面タッチで指紋認証の仕組みも
なぜiPhoneでは、指紋認証ではなく顔認証が主流になったか。
スマホ・ケータイジャーナリストの石川温氏に聞くと、「アップルとしては顔認証の方が本体のデザインがしやすい」のではないかと話した。端末の画面を大きくしたい場合には、指紋認証よりも顔認証の方が適しているという。
指紋認証の場合、指紋を読み取るためのパネルなどを画面とは別に本体に設ける必要がある。実際、Touch IDを搭載しているiPhone端末では、本体画面の下に「ホームボタン」という指紋センサーを内蔵した物理ボタンが搭載されている。
一方でiPhoneX以降の機種では「iPhone SE」を除いてこのボタンと指紋認証は廃止され、本体の前側全体を覆うように大きいディスプレーが搭載されるようになった。
画面を大きくできるメリットから、最新のiPhoneでは指紋認証が搭載されていないのではないかと石川氏は分析した。
一方、現在のスマホ業界には、画面内に指紋センサーを内蔵する技術が存在すると指摘。指紋認証のためのパネルなどを設ける必要がなく、画面自体をタッチして指紋を読み取れる。
主要スマホメーカーでは、この画面内認証システムを採用する動きが出ているという。アップルの端末でもこの先、画面内認証が導入されていく可能性があるとした。