音楽の道に遅く入ったロッシーニ 古典派の巨匠たちの楽譜が導いた

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友人が「ドイツの楽譜」を貸してくれた

   「神童」でなかったロッシーニが、どうしてそんなに急激に才能を開花させたのでしょうか?もちろん、もともと才能があり、きっかけが無かっただけ・・とも言えますが、現代でも早期教育が必要とされるクラシック音楽の奥義を、文字通り「短期集中」で会得することが可能なのでしょうか?

   そのヒントは、パリで引退した68歳のロッシーニが、ジャーナリスト、E.ミショット立ち会いのもと、30代のワーグナーと対談した中にありました。

   ロッシーニは、「私は、感受性が鋭く、筆も早かったのですが、音楽の基本的な教育が欠けていました・・」と自分自身で認めているのです。しかし、そんな彼がボローニャ滞在中、もっとも役にたった勉強は、友人が、「ドイツの楽譜たち」を貸してくれたことだ、と断言しているのです。

   「ドイツ」といっても国のことではなく、広くドイツ語圏・・のことです。彼自身は、外国から楽譜を取り寄せる知恵も財力もなかったのですが、「音楽上の友人」が快くハイドンやモーツァルトのオラトリオやオペラのスコア(総譜)を貸してくれたのです。

本田聖嗣プロフィール
私立麻布中学・高校卒業後、東京藝術大学器楽科ピアノ専攻を卒業。在学中にパリ国立高等音楽院ピアノ科に合格、ピアノ科・室内楽科の両方でピルミエ・ プリを受賞して卒業し、フランス高等音楽家資格を取得。仏・伊などの数々の国際ピアノコンクールにおいて幾多の賞を受賞し、フランス及び東京を中心にソロ・室内楽の両面で活動を開始する。オクタヴィアレコードより発売した2枚目CDは「レコード芸術」誌にて準特選盤を獲得。演奏活動以外でも、ドラマ・映画などの音楽の作曲・演奏を担当したり、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」や、インターネットクラシックラジオ「OTTAVA」のプレゼンターを務めるほか、テレビにも多数出演している。日本演奏連盟会員。

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