最低賃金を下回る
朝日新聞も4月14日、そんな内田さんの近況を伝えている。
救いの手を差し伸べてくれたのは、行政ではなく、友人や、生活困窮者を支援する一般社団法人「つくろい東京ファンド」(稲葉剛・代表理事)だった。なんとか都内にある同ファンドの個室のシェルターに入ることができたという。
内田さんは、生活保護は申請せず漫画家として再起を図ることを目指している。4月30日まで、内田さん、枡野さん、イラストレーター・目黒雅也さんの合作を展示・販売する「一人一人一人展」が東京都杉並区西荻南3丁目の「BREWBOOKS」で開かれている。内田さんの絵本「みんなわんわん」(好学社)も5月末に復刊予定だという。
漫画評論家、紙屋高雪さんの『マンガの「超」リアリズム』(花伝社)によると、漫画大国日本に漫画家はざっと1万人。そのうち「メシが食えている」のは1000人程度だそうだ。多くが「ワーキング・プア」で、時間給でいえば最低賃金を下回ると指摘されている。内田さんの窮状は、多くの漫画家にとって他人ごとではない、身につまされる話といえそうだ。