お皿をキャンバスに見立てて
「ブボ・バルセロナ ジャパン」でヘッドシェフを務めるヒロ・ヤマモト氏に取材した。「パティシエ ヒロ・ヤマモト」のオーナーパティシエでもある。
ヤマモト氏によると、「レッドラブ」に使用されているバタークリームは通常もったりした食感だが、それではムースと合わない。うまく調和させるために、まずバターの融点を探ったと話す。ケーキプレートは、「お皿をキャンバスのように見立てて仕上げました」と見た目にもこだわった。ただケーキとチョコレート、マカロンを置くだけでなく、フルーツソース、エディブルフラワーで彩り、目でも楽しめるひと皿に仕上げた。
ヤマモト氏のこだわりで、同店で提供されるケーキの材料は1グラムの違いも許さない。また、クリームひとつ作るにしても、材料を混ぜ合わせる時間や保つ温度まで、すべて緻密に計算されている。仕事は毎日深夜まで及ぶという。それでも「あとで後悔したくないんです」と話すヤマモト氏の顔には、プライドと責任がにじんでいた。