茨木のり子に感銘し読み返す

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凛とした美しさ

   「清冽」の著者後藤正治氏もこのように指摘する。「<人格的><日向的>であることが、茨木作品に通底する音色だった。それは天賦のものであると同時に、そうであろうとする意志力によって自身を磨いた結果であると私は思う」という。

   残念ながら、現在、『清冽』は版元品切れだが、後藤氏の評伝「凛としてあり続けたひと」が掲載されている「別冊太陽 日本のこころ277 茨木のり子」(平凡社 2019年12月)は新刊で入手可能だ。『わたしが一番きれいだったとき』が掲載されている見開きのページには、彼女21歳(1947年)のお見合い写真が掲載されていて、その凛とした美しさに思わず見入ってしまう人も多いと思う。再録のエッセイ「はたちが敗戦」も味わい深い。

   茨木のり子のロングセラー『詩のこころを読む』(岩波書店 1979年)で「詩との出会いもふしぎなもので、作者はよく知っているのに、その詩とはさっぱり出逢えないということもあり、皆が名作というのに、何にも感じなかったり、やはり詩との出会いも御縁というしかなく、古今東西の名著を全部読めないように、一億の日本人全部と会話することはできないように、特定の縁(えにし)によって愛読書になったり友人になったりするようなものです」と言っているが、まさにそのとおりだ。茨木の『うたの心に生きた人々』(筑摩書房)に接して、山之口獏という沖縄出身の素晴らしい詩人とその詩を知ったことも忘れがたい。

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