NTTドコモの新料金プラン「ahamo」は、第5世代移動通信システム「5G」での通信に対応している。対応端末が必要だが、同じく「ahamo」提供の「4G(LTE)」よりもさらに高速での通信ができる。
ところが、ahamoで5Gにつながらないことがある、という嘆きをSNS上で複数見つけた。実際にあり得るのか、また原因は何か、調べた。
利用できる地域が少ない
ドコモ公式サイトでは、5Gの利用可能範囲が分かる。「エリアマップ」という項目で「5G」を選んだ際に地図上に赤く表示される領域が5G対応エリアとなるが、そもそも5Gを利用できる地域の方が少ないのが現状だ。
例えば東京都千代田区では、東京駅の駅前西側などがエリアに入っているが、都心の地下鉄・九段下駅や竹橋駅、大手町駅はエリア外だ。都心から外れるとより5Gエリアは少なくなり、中野区では中野坂上駅の北側、北区では北赤羽駅の西側ぐらいしか該当エリアが見当たらない。
首都圏でも、千葉県の場合は県中央に位置する市原市より南の地域には一切5Gエリアを確認できない。
全都道府県にそれぞれ対応エリアは存在するが、範囲は狭い。北海道は函館市の五稜郭駅付近や札幌市の大通公園周辺など対応エリアは点在する。ただ旭川市より北では、北東に位置する雄武町と最北端・稚内市の稚内北星学園大学の周辺のみ。道内の大部分が「5G空白地帯」だ。
切り替わる状況さまざま
また、同サイトの「5Gのご契約とご利用機種に関するご注意事項」というページによると、ドコモの5G通信は5G規格単体ではなく、4G規格と組み合わせて運用されている。
つまり5G対応エリア内での通信待ち受け時、スマホの画面に「5G」と表示されていても、実際にウェブサイト閲覧などで通信を行う際には、「4G」や「LTE」に自動的に切り替わる可能性があるというのだ。その場合は表示も5Gではなくなる。
ドコモ広報に詳細を取材すると、担当者は「(4Gに切り替わる)状況はさまざま考えられます」とした上で、「遮蔽(しゃへい)物がある場合などは、4Gと5Gの電波の周波数の違いによって伝搬特性が異なることから、5G通信ができずに4G通信となる場合」があるとした。
通信エリアの範囲や5Gから切り替わる仕様については、ドコモブランドの5Gプランでも「ahamo」でも同様との説明だ。
なお、端末の設定によって5Gから他の通信規格に切り替わる場合もある。アップル公式サイトによると、5Gに対応している「iPhone 12」には「5G オート」というモードが存在する。このモードはバッテリーの節約を目的としており、「5Gの速度にしても際立った成果が見られない場合は、LTEに自動的に切り替わる」とのとことだ。