後世の傑作に引けを取らない
しかし、その作品も決して惰性で作らず、構造は幾分シンプルなものの、もっと後の傑作ピアノ協奏曲たちと比べても一歩も引けを取らない新鮮さ、完成度をほこっています。
しかも、ウィーンに出てきたばかりの新婚モーツァルトはやたらと忙しく、朝から昼過ぎまでは食事も取らずに生徒のレッスン、1時間ほど食事休憩した後、夜は演奏会に出演したり、顔を出さなければいけないことも多いので、その前の僅かなスキマ時間・・・みたいな状況で作曲されていたのにも関わらず、です。
子供時代から作曲・演奏と一流のクオリティで教育と訓練を受けてきたモーツァルトにとっては「当たり前の仕事」なのかもしれませんが、しみじみとこの曲を聴いてみると、やはり天才の仕事だなあ・・・と感じざるを得ません。
4月の新年度に聴きたい、勇気あふれると同時に優雅でもある、モーツァルトの傑作です。
本田聖嗣