ライラックの咲き乱れる早春の風景とラフマニノフの愛着 「リラの花」

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終わりに近づくにつれ技巧的なパッセージ

   ラフマニノフは、1902年に幼少より仲の良かった従姉妹のナターリャと結婚します。その同じ年に、詩人E.ベケートワの詩にメロディーを付けた歌曲として、「リラの花」を作曲したのです。作品21の12曲の歌曲の5番目として書かれたこの曲に、特別に愛着があったのでしょうか、後の1913年頃に、これを得意のピアノ独奏曲に編曲します。ピアノ編曲版は、冒頭からメロディーと伴奏を複合的に弾いて歌曲をそのまま踏襲していますが、終わり近づくにしたがって原曲の歌曲から少し離れて、彼らしい技巧的なパッセージを追加し、華やかなピアノ曲として締めくくっています。

   露ではまだ早春の5月、リラの花が咲き乱れる中に一生の大切な幸福を探しにゆく・・という歌詞の内容の通り、ラフマニノフ自身の人生とも重なる、可憐な歌曲であり、ピアノ曲です。日本の桜も、人の心を動かしますが、ラフマニノフの「リラの花」もこの季節にしみじみと花を愛でながら聴きたい名曲です。

本田聖嗣

本田聖嗣プロフィール
私立麻布中学・高校卒業後、東京藝術大学器楽科ピアノ専攻を卒業。在学中にパリ国立高等音楽院ピアノ科に合格、ピアノ科・室内楽科の両方でピルミエ・ プリを受賞して卒業し、フランス高等音楽家資格を取得。仏・伊などの数々の国際ピアノコンクールにおいて幾多の賞を受賞し、フランス及び東京を中心にソロ・室内楽の両面で活動を開始する。オクタヴィアレコードより発売した2枚目CDは「レコード芸術」誌にて準特選盤を獲得。演奏活動以外でも、ドラマ・映画などの音楽の作曲・演奏を担当したり、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」や、インターネットクラシックラジオ「OTTAVA」のプレゼンターを務めるほか、テレビにも多数出演している。日本演奏連盟会員。

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