涙が止まらず再度の販促を提案
『ビタミンF』の主人公は中年男。中学生の息子としっくりいかない。「離婚してもいいけど」と最近、妻が呟いた......。若いころの輝きを失いながらも、前を向いて進まざるを得ない人たちに贈る短編集だ。
本書の新潮社の担当営業部員は、主人公と同年代。若いころにも読んだことがあったが、改めて読むと、涙が止まらなかったという。今の自分と重なる部分が多く、「この気持ちを誰かと共有したい」と再度の販促を提案。そんな思いを込めた「涙腺キラー・重松清 最泣の一冊!」というコピーが、異例のブレイクにつながった。
重松さんは1963年生れ。出版社勤務を経て執筆活動に入り、1991年『ビフォア・ラン』でデビュー。2010年『十字架』で吉川英治文学賞、 14年『ゼツメツ少年』で毎日出版文化賞を受賞。現代の家族を描くことを大きなテーマとしている。
『ビタミンF』は693円(税込)。