しょうゆ皿にわさびとしょうゆを入れ混ぜてから、すしに付ける。この食べ方をめぐって「下品」と指摘されたとのエピソードから、インターネット上で議論が巻き起こっている。
普段こうした「わさびじょうゆ」を作る人からは、「何が悪いのか」と声が上がる。一方、見た目の悪さや、すしネタによってわさびの量を調整できなくなると批判が出た。すし店の見解はどうか。
わさびの辛味と香りが飛んでしまう
京都市のすし店「先斗町 すしさゝや 幸凛」は明確に「醤油(しょうゆ)にわさびは溶かない」と、公式サイトで説明している。理由は「醤油にわさびを溶かすことで醤油皿が汚れてしまうことはもちろん、わさびの辛味と同時に香りまで飛んでしまうため」だ。さらに、「わさびを直接つけると刺激が強すぎるため、醤油に溶かす」人に対し、「お寿司に限らず和食全般でマナー違反」だと指摘している。
「板前寿司江戸」(東京都港区)も同様の意見だ。公式サイトで、「醤油の中にわさびを溶かす」行為について、わさびの利きが悪くなるとしている。「特に脂ののった魚にはわさびを直接身の上に多く盛った方が良い」。
わさびじょうゆ推奨のメニューがあった!
ところが逆に、「わさびじょうゆ」を使って食べるように推奨されているケースがある。
「海鮮丼」だ。
各種丼メニューを扱う専門店「どん」(大阪市)は公式サイト内「おいしい食べ方」を紹介しているページで、「わさびを小皿に取り、お醤油で溶きます。それを丼にかけて味付けしてください」と説明している。
石川県金沢市の「海鮮丼専門のお店 近江町市場 こてつ」も、特製のしょうゆにわさびを溶いて、海鮮丼全体にかけて食べるよう勧めている。ごはんにも程よい味がつき、おいしいという。
同じ石川県の七尾市にある「能登すしの庄 信寿し」は、公式サイトにあるメニュー「海鮮すし丼」について、「食べ方は自由」としつつ、(1)わさびじょうゆを作り直接すし丼に掛けて食べる、(2)わさびじょうゆに素材を付けてシャリに戻して食べる、の2つがあるとしている。いずれにしても「わさびじょうゆを作る」のは共通のステップだ。