3月は卒業シーズン。学校生活のまとめとして「卒業アルバム」が配布されるだろう。「これは一生の思い出...と思いきや、こんな声がちらほら聞こえてくる。
「卒業アルバム捨てました」
イベントのたびにLINEで写真共有
最近では、卒業アルバムをもらってすぐに「捨てた」という人もいるようだ。燃やした、破いた、古紙回収ボックスに出した、可燃ゴミに出した、など捨て方は様々だ。もらったその日にゴミ箱行きにした人も多数。「学校が嫌いだった」「邪魔になる」――理由もいろいろある。
J-CASTトレンドは、実際にアルバムを捨てた人、保管している人にその理由を聞いた。
3月に中学校を卒業したばかりの男子生徒は、卒業式の3日後に処分した。「とくに思い出がないし、自分の顔を見たくないから。必要ない」ときっぱり。
後から写真を見返して、思い出に浸ることはしないのだろうか。
「仲良い友達とは遊んだ時に撮った写真があるから、それで十分です」
卒業アルバムには体育祭などの行事の写真も掲載される。ただこの生徒によると、クラスのグループLINEがあり、イベントのたびに写真が共有されるそう。わざわざアルバムで写真を振り返らなくても、手元のスマートフォンで全て確認できる。
卒業後にアルバムたどって再会
一方で、高校卒業から長い年月が経った今でも、大事に卒業アルバムを保管している人もいる。とくに、中高年の世代では貴重なもののようだ。昔の卒業アルバムには、卒業生の氏名、住所、電話番号の一覧表が付いていた。個人情報の扱いに厳しい現代では、考えられないことだ。
50代の男性は、中学・高校のアルバムを今も取っている。「重要性は今も昔も人によって差があると思いますが、私は捨てようと思ったことはありません」と話す。
アルバムは役立つこともあるという。男性は「卒業後に同窓会を開催するための呼びかけ、年賀状を送るときの住所確認、結婚式の招待状を送るときに使った」と説明する。さらには、「営業マンになった人がいれば、見込み客として取り込みに役立てる人もいる」と明かした。実際、社会に出た後に同級生から勧誘の電話がかかってきたことがあったそうだ。
40代の女性もまた卒業アルバムは手元に残しており、今でもたまに見返している。さらにこう続けた。
「卒業してから何年か経った後に、アルバムから電話番号を調べて連絡を取った子が数人いました」。
今でこそLINEやフェイスブックからすぐに連絡を取れる時代だが、昔は携帯電話すらなかった。人とのつながりを保つ意味でも、卒業アルバムの存在は重要なものだったとわかる。