「故郷は遠きにありて思ふもの...?」 マニュエル・デ・ファリャの郷愁が生み出した名曲「スペインの庭の夜」

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大変なスロースターター

   ファリャ自身もアンダルシア地方の港町カディスの貴族の家柄の出身で、アンダルシアはいわば彼の「ホームグラウンド」でした。しかし半面、首都マドリードなどのカスティーリャ地方や、バルセロナを擁するカタロニア地方と違って田舎であり、1876年生まれの彼にとって、地元の音楽環境は貧しいものでした。彼は、17歳のときに初めて交響曲を聴いて天の啓示のように感じ、音楽の道に進むことを考え始めた、大変なスロースターターだったのです。そしてそれは険しい道のりでした。

   首都マドリードに出てピアニスト、ホセ・トラゴに師事したものの、当時のスペイン音楽の第一人者ペドレルには、アドバイスこそもらえたものの、決して温かくは迎えられませんでした。処女作オペラ、やはりアンダルシアのグラナダ郊外を舞台とした「はかなき人生」で、マドリードのアカデミアの賞を得るものの、なぜか上演はされないという謎仕様、独学に近い形で歩みをすすめるファリャにとっても、これ以上学ぶには外国に行かなければならない、と決心させる出来事の数々でした。

本田聖嗣プロフィール
私立麻布中学・高校卒業後、東京藝術大学器楽科ピアノ専攻を卒業。在学中にパリ国立高等音楽院ピアノ科に合格、ピアノ科・室内楽科の両方でピルミエ・ プリを受賞して卒業し、フランス高等音楽家資格を取得。仏・伊などの数々の国際ピアノコンクールにおいて幾多の賞を受賞し、フランス及び東京を中心にソロ・室内楽の両面で活動を開始する。オクタヴィアレコードより発売した2枚目CDは「レコード芸術」誌にて準特選盤を獲得。演奏活動以外でも、ドラ マ・映画などの音楽の作曲・演奏を担当したり、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」や、インターネットクラシックラジオ「OTTAVA」のプレゼンターを務めるほか、テレビにも多数出演している。日本演奏連盟会員。

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