「岩⼿が岩⼿を⾒捨てることはあってはならない」
「岩手日報」は2017年から「震災を風化させない」を目的とした新聞広告を出稿するようになった。背景には、岩⼿県では同年に「早くも震災の⾵化がはじまっていた」ことがあるという。同社は発表資料で、こう説明している。
「被害が少なかった内陸部と被災した沿岸部との温度差があり『まだ震災のことを⾔ってるの?』という雰囲気が蔓延しはじめていました」
しかしその当時、岩⼿県の⾏⽅不明者はまだ2000⼈以上に及んでいた。岩手日報は「たとえ東⽇本で⾵化が進んでも、岩⼿が岩⼿を⾒捨てることはあってはならない」「震災の教訓や悲劇を忘れないでほしい」という思いから、新聞広告の⼒で⼈々に思い出してもらうきっかけをつくることはできないかと考えたという。
また2021年は新聞広告の出稿に加え、変わりゆく被災地の街並みを⾳楽で残すプロジェクト「岩⼿ after 10 years」を始動させた。震災前、震災直後、震災10年と、それぞれの街の⾵景に⾳符を置くことで、街が奏でる「復興10年の曲」をつくる年間プロジェクトだ。釜⽯の曲、陸前⾼⽥の曲、宮古の曲など、市町村ごとに曲をつくることで、2021年の⾵景をより詳細に残すべく、岩⼿⽇報は同企画への参加者を募集している。