パナソニック(本社:東京)は2021年3月9日、国際学生コンペティション「SPORTS CHANGE MAKERS(スポーツ チェンジ メーカーズ)」のプレイベントをパナソニックセンター東京で開催した。
注目すべきは、今回パナソニックが披露したイベントの開催形態、「Mirror Field (ミラーフィールド)」だ。この「Mirror Field」によって、インターネット上のバーチャル空間に「アバター」として参加している人々の姿が、リアル会場にも映り込むという、「現実世界と仮想世界が融合する不思議な空間」が実現した。他にもプレイベントでは、東京2020組織委員会スポーツディレクターの小谷実可子氏らゲストがパネルディスカッションを行った。
オンライン参加者とも「一体感」得られる
「SPORTS CHANGE MAKERS」は2020年の東京五輪・パラリンピックに向けた、国際オリンピック委員会(IOC)、国際パラリンピック委員会(IPC)との協力事業。「GOING BEYOND BARRIERS(ゴーイング・ビヨンド・バリアーズ)」をテーマに、あらゆる「バリア」を超えて五輪・パラリンピックの価値や魅力を生み出す新しいアイデアを募集する取り組みだ。現在、中国、ヨーロッパ、米国、日本の4チームが、今年の8月に予定している最終プレゼンテーションに向けて準備を進めている。
プレイベントでは、「スポーツ×テクノロジーでバリアを超えることができるのか」を小谷氏、東京2020組織委員会アドバイザーの澤邊芳明氏、同コンペ日本代表の横瀬健斗さん、パナソニック社員の川合悠加さんが議論した。まず、モデレーターを務めるITジャーナリスト・林信行氏に「Mirror Field」の感触を問われた小谷氏は、専用のタブレット端末の中で、自由に会場を歩き回るオンライン参加者のアバターを見て、
「かわいいですよね! 話し始めるとちょこちょこ、とアバターが前に近付いてきて。その人の気持ちが感じられます」
と楽しげにコメント。「人と繋がるうえでは、目の前にいる方が優先だと思っていましたが、リモートの方とでも一体感を得られる」仕組みだと評価した。
また、小谷氏はコロナ禍でアスリートの練習や、リアル大会開催が難しくなるなか、アーティスティックスイミング界では「バーチャル大会」が開催されたと話した。陸上で演技を行い、それを水中でやっているようにCGで加工するという。スマートフォンやビデオカメラの普及、技術の進化によって、「新しい試み」が生まれたエピソードを通じ、「スポーツ×テクノロジーでバリアを超えることができる」と訴えた。
スポーツ「観るだけでなく、自分でやってみようと促せるもの」を
「SPORTS CHANGE MAKERS」日本代表の横瀬さんはパネルディスカッションで、コロナ禍でオンライン文化が発展したことで、物理的・時間的要因による「スポーツ観戦に行けない」というバリアは解決したのではないかと話した。そこで着眼したのが、「実際にスポーツをやる」ことへのバリアだ。
横瀬さんは「子どもたち」をターゲットに、「目で見るだけでなく体験することで、よりスポーツのすばらしさを感じることができる」というバリアを、「スポーツ×テクノロジー」で克服できるアイデアを考えている。具体的な情報は明かせないが、自身がかつてサッカーに取り組んでいた頃の楽しい記憶をもとに、「スポーツを観るだけでなく、自分でやってみようと子どもたちに促せるもの」を作りたいと考えているそうだ。