東京五輪の海外からの一般客について2021年3月9日から10日、日経、朝日、読売などが朝刊一面やウェブニュースで「受け入れ断念」を報じた。外国からの観光客が来なくなると、五輪が開催された場合でも、観光旅行業界などに与える影響が大きい。
変異ウイルス拡大がネック
朝日は9日夕方にウェブニュースで、「東京五輪、海外一般客の受け入れ断念へ 日本側が方針」を報じた。「東京オリンピック(五輪)・パラリンピックで、海外在住の一般客について、政府、東京都、大会組織委員会が受け入れを見送る方針を固めたことが、複数の大会関係者への取材でわかった」という。
海外在住の一般客受け入れ断念については、政府、都、組織委、IOCと国際パラリンピック委員会(IPC)を交えた5者の代表者協議を経て、聖火リレーが福島で始まる25日より前に正式表明する方向で調整している、と今後の段取りも具体的だ。
日経も「海外客受け入れ断念へ 東京五輪、日本側が方針」。読売も「東京五輪の海外客、受け入れ断念...国内の観客数は4月中に判断」と報じた。
内容は各メディアともほぼ同じで、各国で新型コロナの変異ウイルスによる感染拡大が続くなどコロナ禍が収まっていないことが挙げられている。
国民の4分の3以上が反対
読売によると、チケットは、海外ですでに約90万枚が販売されている。「観客が来なければ、組織委が見込んでいる約900億円のチケット収入が減る上、世界の人々が交流を深めることも難しくなる。返金の手続きにも多額の経費がかかるとみられる」と書いている。
読売は7日、海外からの観客を受け入れることは、「反対」が77%という世論調査結果も公表している。
毎日新聞はすでに3日、スクープとして「東京五輪、海外客受け入れ見送りで調整 コロナ拡大懸念に配慮」という記事を流している。
「海外客」の見送りは、旅行業界のみならず、スポンサー企業や関連自治体など多数の関係者に影響が及ぶ。五輪ボランティアなどの需要にも、変化が起きそうだ。これが「五輪中止」の一里塚になるのか、それとも国内観客のみ、あるいは無観客になるのか、大会関係者は、世界的なコロナ禍の推移やワクチン接種状況をにらみながらの最終判断を迫られることになる。