NTTドコモ、ソフトバンク、KDDIが、スマートフォン(スマホ)向けに新料金プランを提供する。ドコモの「ahamo」、ソフトバンクの「LINEMO」、KDDIの「povo」は2021年3月中旬以降にスタートするが、どれも「キャリアメール」が使えなくなる。
利用者に対して通信会社が提供するメールサービスだが、近年ではこの代わりにメッセージアプリ「LINE」を連絡手段とする人も多い。キャリアメールは姿を消す運命なのか。
1日の送信回数「ゼロ」6割強
マーケティングリサーチを行う「MMD研究所」(東京都港区)の「2020年版 スマートフォン利用者実態調査」によると、調査対象者2578人でキャリアメールを1日に送信する回数が「ゼロ」と回答した人が62.9%で最多だった。全体での平均は2.9回だ。一方、LINEでメッセージを送信する回数は、「1〜10回」が57.8%で最多。平均回数は9.9回だった。
J-CASTトレンドが20年10月、20代から60代の男女20人にキャリアメールの使用状況を取材した際には、キャリアメールをメインの連絡手段として使っていると回答したのは20人中で60代の女性ひとりだけだった。
どうやらキャリアメールは、役目を果たし終えつつあるようだ。しかも新料金プランでは提供されない。それでも使い続けたい人はいる。ツイッターには、インターネット上などで利用しているサービスにキャリアメールを登録してしまっているとの声がある。
「povoへの移行で一番のネックはキャリアメールで登録したサイトやサービスのメアド変更」
「携帯メールで会員登録とかしてるサイトを変更手続きするのがめんどくさいな」
こんなツイートが数十件確認できる。
高齢の親は「結構困るはず」
キャリアメールが廃止されると、知り合いとの縁が切れるかもしれないという悩みも。「お互い電話番号も知らないでキャリアメールだけ知ってる知り合いとかけっこう居たりする」「キャリアメールは中学時代の人から連絡来るかもしれんなので捨てられない」というのだ。
高齢者がキャリアメールを使い続ける例もあるようだ。J-CASTトレンドの取材に答えた20代男性は、「実家の両親(60代)は何年も前から同じキャリアメールを使っている」と話す。テキストでの連絡手段はメールのみだ。ahamoなどに移行すると、両親は新たな手段へ移行する必要があり、「結構困るはず」と話した。
総務省「スイッチング円滑化タスクフォース(第5回)」の配布資料によると、「携帯電話会社を乗り換えても継続的にキャリアメールが利用できるのであれば、そのサービスを利用したいと思いますか」という質問に、74.1%が「利用したい」と回答した。需要はあるようだ。
こうしたニーズを受け、総務省は通信会社を変更してもそのままキャリアメールを使えるようにするサービスを提案。「全ての利用者に対して提供可能な環境を実現することが望ましい」ことから、「ahamo」などの新料金プランでもキャリアメールが利用できるようにするべきとの方向性を示している。