「かん」元首相と「すが」首相 「菅」の読み方は日本の東西で違い

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   東日本大震災10年ということで、久しぶりに菅直人元首相の名前を見かける機会が増えている。現在の菅義偉首相と、読み方は異なるが同じ漢字なので、うっかりすると間違えてしまう。実際に間違えたケースも出ている。

  • 2人の首相、「菅」のダブりは歴史的にも珍しい
    2人の首相、「菅」のダブりは歴史的にも珍しい
  • 2人の首相、「菅」のダブりは歴史的にも珍しい

メディアもフリガナ

   産経新聞によると、2021年1月22日の衆院予算委員会では、自民党の額賀福志郎元財務相が、脱炭素化に関する質問で、「世界のリーダーが菅(かん)首相の決断を支持している」と言い間違える場面があったという。現在の首相は「かん」ではなく「すが」だ。

   この日の集中審議では首相と元首相の新旧首相対決もあった。同紙は、「菅義偉(すが・よしひで)首相」と「菅直人(かん・なおと)元首相」と、わざわざフリガナを入れて報じている。

   日本に歴代首相では、「田中」「鈴木」など同じ名字が何組かある。「田中義一と田中角栄」「鈴木貫太郎と鈴木善幸」などだ。「福田」のように親子の例もある。しかし、同じ名字の首相経験者が同時期に政治活動をしていたわけではないので、間違われることはほとんどない。その意味でも「菅」のダブりは歴史的にも珍しい。

菅原道真ルーツ説

   日本人の名字を分析しているウェブサイト「名字由来ネット」によると、「菅」はそう多い名字ではない。全国順位は497位、全国で3万9800人と推定されている。約4万人のなかから2人も首相を出しているのだから、パワーのある名字だ。

   都道府県別では愛媛県5900人、大阪府3300人、東京都3300人、神奈川県2600人など。市区町村別では、愛媛県今治市2600人、松山市1300人、秋田県湯沢市1200人、山形県最上町800人などと推定されている。

   菅首相は秋田県湯沢市出身だから、地元では多い名字のようだ。一方の菅元首相は山口県で育っており、「菅」の本場、愛媛県に近い。

   名前の由来は菅原道真の菅原姓を略したとか、スゲという湿地帯に生える植物群に関係するとか諸説あるらしい。

「かん」と「すが」がほぼ半々

   この名字の大きな特徴は、「すが」と「かん」、大別して二つの読み方があることだ。日本実業出版社のサイト「人名・地名 おもしろ雑学」によると、全国の「菅」さんの読み方は、「かん」と「すが」がほぼ半々。ただし、地域的に大きな偏りがある。

   「菅」姓が全国的に最も多い愛媛県では、96%以上が「かん」。ところが同じく多い山形県や秋田県では大半が「すが」だという。先の「名字由来ネット」によれば、「すが」は東日本、「かん」は中国・四国に多いのだという。「菅首相」と「菅元首相」の読み方の違いにぴったり当てはまる。

   ちなみに学生服の有名ブランド、「菅公(カンコー)学生服」は岡山県の会社だ。地域的にはぴったり「かん」エリア。学業の神様として知られる菅原道真にちなんでいる。東京や大阪などの大都市にいる「菅」さんは、読み方からルーツを推測できるかもしれない。

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