ワカメの表面に、半透明の毛のようなものがいくつも生えている...。理研ビタミン(東京都新宿区)が販売する家庭用食品「ふえるわかめちゃん」を使って、自宅で汁物を作っていた時、記者はふと気づいた。知らなかっただけで、今までに食べたワカメにも生えていたのか、それとも――。
理研ビタミンの公式サイトを見ると、「もうそう」と呼ばれるワカメ特有の器官と説明がある。どのワカメにも存在するが、その実態は謎が多い。
「かなりのレアケース」
理研ビタミンの広報担当者は取材に対し、そのまま食べても問題なく、味への影響もないと答えた。「人体には全くの無害」だそうだ。
「もうそう」は、通常は「乾燥」させる過程でほとんど取れてしまうことが多い。「ふえるわかめちゃん」で見つけるのは「良い・悪いというより、かなりのレアケースです」。同社相談センターに「ワカメに毛が生えている」という問い合わせが来ることはあるが、まれとのこと。生ワカメや、生ワカメを湯通しして塩漬けにした「塩蔵ワカメ」となると、見つかる確率はもう少し上がるという。
何の目的で生えている?
「もうそう」は、わかっていないことが多い「ミステリー器官」でもある。広報担当者は、関連企業の理研食品(宮城県多賀城市)の公式サイト内にある、ワカメの基礎知識を紹介する「わかめミニ百科」のデータをもとに、こう話した。
「『もうそう』は、『毛巣』『毛叢』『毛藻』などと書かれ、どれが正しい表記かまだ定まっていない謎の物質です。主成分は何なのか、何の目的があって生えているのか、どんな状況だと伸び易いのかほとんどわかっていません」
「妄想」の余地がありそうだ。ただ「もうそう」はワカメに必須で、「もうそうがなければ、ワカメではない」。乾燥ワカメで見かけたら「珍しい」と思うに留め、おいしく頂くのがよいだろう。