積水ハウス(大阪市)は、脱炭素社会の実現に向け、賃貸住宅のネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(賃貸ZEH)を同社の賃貸住宅「シャーメゾン」ブランドで展開している。
2021年2月25日、埼玉県にあるシャーメゾン ZEH モデルハウスを取材した。エネルギー管理タブレット、蓄電池、高効率エアコンやLED照明などのあらゆる設備を備え、高い断熱性をもった「地球にやさしい住まい」を見学した。
断熱性能で冷暖房の必要性を最小限に
ZEHとは、夏は涼しくて冬は暖かい「断熱」の性能向上などによって、室内環境の質を維持しつつも大幅な省エネルギーを実現した上で、エネルギー消費量の収支ゼロを目指す住宅。積水ハウスは賃貸ZEHを本格的に展開しており、2021年1月時点で累計受注戸数は3806戸にのぼる。
同社常務執行役員で環境推進担当の石田建一氏は、最近はエコバッグの利用やリサイクルファッションの浸透など「環境に良いこと」への関心が若い世代にも高まっていると説明。一方で、環境に考慮した住まいに対する関心は低いと指摘した。そこで「若い人がZEHを建てるのは難しいが、賃貸というかたちでこうした住まいを提供していきたい」と話した。
モデルハウスでは、住宅全体が断熱性能をもっており、冷暖房の必要性を小さくしつつ年間を通して快適な暮らしが実現できる。記者が見学した2月25日はまだ寒く、外は空気が冷たかったが、部屋は暖房なしでも十分暖かかった。
リビングにある大きな窓は、高断熱複層ガラスと高断熱サッシの二重構造になっている。同社がこのモデルハウスで実施した温度変化の測定結果がある。日中暖房をつけて23度前後の室温を維持し、その後22時に暖房を切った。すると、外気は0度近くても、室温は16.4度を保ったままだった。一般的な住まいでは、同じ条件下だと室温は10度を切るそうだ。