鈴木健吾サングラス姿で快走、日本新記録 掛ける理由はファッション以外にも

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   2021年2月28日の第76回びわ湖毎日マラソンで、鈴木健吾選手(富士通)が2時間4分56秒の日本新記録で優勝した。鈴木選手も、2位の土方英和選手(Honda)もサングラス姿での快走だった。

   マラソンレースでは冬でもサングラスをかけている選手が多い。一流選手のみならず、市民ランナーの間でもサングラス姿が目立つようになっている。単なる「ファッション」にとどまらない理由がありそうだ。

  • サングラスを掛けるランナーが増えた
    サングラスを掛けるランナーが増えた
  • サングラスを掛けるランナーが増えた

紫外線カットで疲労軽減

   スポーツ用品販売「アルペン」のウェブサイトは、「ランニング中にサングラスをかけるメリット」について以下のような解説が出てい。

「ランニング中は長時間紫外線を浴びる可能性がありますが、サングラスをかければ目に入る紫外線の量を軽減し、目を守ることができるのです」
「目に入る紫外線が増えると疲れやすくなるともいわれているので、パフォーマンスの向上も期待できます」

「ランナーズNEXT」というサイトでも、「目から紫外線が入ることで脳下垂体などで疲労物質が出る」という理由が挙げられている。どうやら近年、「紫外線と疲労」の因果関係が、科学的に実証されているようだ。

   同サイトではさらに、日焼けとの関係も説明されている。

「角膜が紫外線を受けると、その情報が脳の下垂体に伝わり、メラニンを増やすホルモンが出るそうです。その指令によって、肌のメラノサイト(色素細胞)でメラニンが作られます。その結果、肌が黒くなったり、シミが増えてしまうのです。いくら日焼け止めクリームを塗っても、目が無防備では日焼けを完全に防ぐことはできません」

   女性ランナーにとってはとくに気になる話だ。

   このほかサングラスの効用として、ライバル選手に表情を読み取られない、自分の走りに集中することもできる、目にゴミが入らない、などのプラス面もある。さらに日差しの強い日でも、しっかり目を開け、クリアな視界が確保することができるので、走っている途中で何かにつまずいたり、他の選手とぶつかったりするリスクが減らせるということも挙げられている。

高橋尚子選手のスパートで注目

   サングラス姿で一躍注目されることになったマラソンランナーは、高橋尚子選手だ。2000年のシドニー五輪の女子マラソン。レースは後半、高橋選手とルーマニアのリディア・シモン選手の並走状態が続いたが、34キロ過ぎに高橋選手が掛けていたサングラスを沿道に投げ捨て一気にスパート、金メダルを獲得した。

   実況でアナウンサーは、「高橋選手は突然サングラスを外しました。高橋、サングラスを捨てた。これが勝負へのサインなのか」と、サングラスが重要な役割を果たすハイライトシーンを伝えた。この瞬間は、テレビカメラでしっかりとらえられていたこともあり、視聴者に強烈なインパクトを与えることになった。

   後日、高橋選手はTOKYO FM+などのインタビュ番組で、当時の状況を明かしている。サングラスを外したくなったが、2万円ぐらいする高価なものなので沿道に誰か知り合いがいないか、走りながら探していた、道の反対側の歩道に父親がいるのを見つけた、そのまま投げると、隣にいるシモン選手に当たって走路妨害になってしまうので、ちょっと前に出て投げた、その瞬間にシモン選手が離れているのが左目で確認できて、それでスパートしたという。ほんの1、2秒の判断だった。

   投げたことと、スパートのタイミングが偶然一致しただけで、計画的なものではなかったようだが、その後、サングラスを掛ける一流ランナーが増える。04年のアテネ五輪女子マラソンでも、金メダルの野口みずき選手はサングラス姿だった。

   市民ランナーも含めたサングラスの広がりについては、眼鏡業界も注目し、高橋選手が開発にかかわったことを売りにしたサングラスも販売されている。高橋さんは「サングラスをつけることで、気持ちを少し落ち着けることができる」などと効用と語っている。

   21年1月31日の大阪国際女子マラソンでも、1位の一山麻緒選手(ワコール)、2位の前田穂南選手(天満屋)はともにサングラスを掛けていた。3月14日に予定されている名古屋ウィメンズマラソン2021でも、サングラス姿の選手が競い合うことになりそうだ。

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