欧米の基準とズレる
ところが近年、欧米では、「アニマルウェルフェア」の考え方が急速に普及し、飼育の法規制の強化にまでつながっているのだという。
EU(欧州連合)では1990年代以降、「アニマルウェルフェア」への配慮が法律や条約にも盛り込まれ、従来型の「ケージ飼い」は2012年から禁止された。生産者に多額の補助金を出し、消費者もアニマルウェルフェアによる一定の値上げを許容することで、10年程度、時間をかけて進められたという。
米国でもこれまでにマクドナルドやスターバックス、コストコなどグローバル企業を含めた300社以上が卵はすべて「ケージフリー」を使用することを宣言しているそうだ。
「アニマルウェルフェアが日本に入ってきたら養鶏業界は壊滅する」――吉川元農水相に現金500万円の賄賂を渡した罪で在宅起訴された大手鶏卵生産会社「アキタフーズ」の秋田善祺元代表は、10年前からそう周囲に話していたという。秋田氏は長年、養鶏業界と政界とのパイプ役を務めてきたとされる。