「精子バンク」をテーマに、1人の男と同時期に交際していた3人の女性が激しいやり取りを繰り広げる映画「truth~姦しき弔いの果て~」。監督は「トリック」や「20世紀少年」を手がけた堤幸彦氏、脚本は三浦有為子氏だ。今後、国内外の多数の映画祭への出展を予定している。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、一時は「仕事ゼロ」に追い込まれた俳優・広山詞葉さんが発起人となり、集ったスタッフらと2か月余の期間で作り上げた。J-CASTトレンドは前回、広山さんほか、同作に出演する声優・福宮あやのさん、俳優・河野知美さんに、コロナ禍における役者の現況と、今後「俳優業を続けるうえで重要だと思うこと」を取材。今回は「truth」の見どころや撮影秘話を語ってもらった。
重いテーマをコメディーで斬る
――あらすじを教えてください。
広山:俳優の佐藤二朗さん(特別出演)が演じる男と、3年前から同時期に交際していた3人の女たちが、「男が事故死」したのをきっかけに一堂に会します。葬儀が終わった夜、東京都内の一等地にある男のアトリエへ誰からともなく集まり、顔を合わせてしまった女たちは、「あなた、誰!?」、「私こそが彼の本命だった」、「彼の子どもがほしい」と泣き叫び、罵り合い、殴り、語り......やがて「男の真実」にたどりつく、という話です。私は「美貌の受付嬢」九条真弓を演じます。
河野:私は女医の小林さな役を務めました。女3人とも全然違う立場・性格なので、誰かに自己投影しながら見てもらえるのでは。
福宮:私は子持ちのシングルマザー・栗林マロン役です。恋愛や結婚、性欲、妊娠、出産、そして「精子バンク」。ともすれば重いテーマにまつわる「女の本音」をあけすけに話しているのですが、コメディーなので深刻になりすぎずに楽しめると思います。
――「精子バンク」を取り上げた作品は珍しいですね。どなたが発案を?
河野:私です。「濃厚接触」が忌避されるようになっている昨今、接触なしに子孫をどう残すかと考えたときに「精子バンク」があると思ったこと。私自身、既婚で「子どもを持たない」選択をした身ですが、「もし心が変わって、子どもを産みたいと思った時にどうするか」と想像したこと。それからちょうど、米国で「精子バンク」を使って子どもを設けたカップルが、「IQ160以上の男性の精子を購入したはずが、実は犯罪歴のあるドナーだったと判明した」という記事を目にしたことがあり、興味を持っていました。
広山:私は当初、とにかく「女性」を描いた映画にしたいと思っていました。河野さんからアイデアをもらい、堤監督にも「面白いね!」と太鼓判を押していただいたので、「精子バンク」と「女の本音」にフォーカスした作品が出来上がったんです。