誰が優秀な指導者かわからない
また、日本の球団経営の方針には、スター選手を監督に据え、それを中心にチームの人気を高めていく考え方が存在するという。
さらに小林氏は、「理論」にも原因があると指摘する。野球ではバットやボールの握り方1つをとっても、明確な理論や指導理論が確立しておらず、理論を学べる学校も存在しない。だから、「誰が優秀な指導者なのかすらわからない」わけだ。そこで、有名な元選手を監督にして話題を提供することが多いという。ただ、指導理論が確立していないのはMLBも同じ。米国でも指導経験のない人気選手を監督にする場合があるのは、こういった事情が関係しているのかもしれない。
対照的なのはサッカー界だ。日本サッカー協会は「指導者ライセンス」を制定しており、最高ランクの「S級コーチ」を持たないとJリーグや日本代表の監督になれない。
小林氏によると、ライセンス制度では指導理論や戦術のほか、救急時などの対応もマニュアル化されており、ライセンスの取得には協会の講習を受け、習得する必要がある。同様の制度は、サッカー先進地域の欧州にも存在している。