普遍的な戦略論
ペルシャ王クセルクセスは野心を抑えられなかった。アテネのペリクレスは寛容から抑圧に変わり、アテネ市民はそれに染まった。ローマ帝国をパクスロマーナに導いたオクタビアヌスは自制心を自らに身に付け、三頭政治で敗れたアントニウスはそれを忘れて自滅した。大航海時代のスペイン王フェリペと大英帝国を築いたエリザベスはそれぞれを使って新世界を経営した。ナポレオンは願望と能力を混同して帝国を失い、その過ちを犯さなかったリンカーンは国を救った。といった具合だ。こうした評価を乱暴に下すのではなく、背景解説がクリアで、かつ、面白い。とりわけ、リンカーンがかっこいい。
戦争や革命の局面に限らず、そして、君主に限らない普遍的な戦略論があるように思う。一役人としても心にしなければならない要素が多い。年の初め、そして、歴史の転換点において、一読をお勧めしたい。
経済官庁 吉右衛門