話題の音声SNS「Clubhouse」。音声で会話を楽しむことができるアプリだが、利用規約では許可のない録音行為は禁止されている。
それでも、規約が無視されて会話音声がインターネット上に流出してしまうケースが出ている。
1時間以上の会話も
Clubhouseでの会話は、ユーザーが作る「room(部屋)」に入ることで視聴可能だ。「Open(公開部屋)」として設定されている部屋であれば誰でも入室し、会話を聞ける。公開されている「room」で、有名人同士が会話をすることも多い。
利用規約では、関係する全ての発言者の書面による明示的な同意なしに、会話を録音することを禁止している。違反者にはアカウントの停止や法執行機関への通報を行うとしている。また、具体的な禁止行為について説明しているガイドラインによると、Clubhouseで取得した情報を許可なく転記・共有することも禁じている。
ところが2021年2月15日現在、動画サイト「ユーチューブ」でClubhouseと検索すると、Clubhouse上での著名人同士の会話と思われる音声が収録された動画がいくつもヒットする。ほとんどの場合は有名歌手やタレントなど、芸能人の会話が収録されている。
動画のタイトルは、会話に参加している著名人の名前をハッシュタグで並べたり、「〜(人名)がClubhouseに参戦」といった形で、録音されている有名人の名を冠したりしているものが多い。視聴者からすると、誰の会話が収録されているか一目でわかる。
動画には会話に参加している有名人らのアカウントが写った「room」の様子が、スクリーンショットによる静止画か、動画(画面収録)で表示される。それを背景として音声が流れ、ラジオのように会話を聞ける。短いものでは約10分、長いものでは1時間以上の会話が収録されている。
藤田ニコルは呆れる
記者が調べた限り、そうした音声動画を5本以上投稿しているユーチューブアカウントが3つ見つかった。全ての発言者から書面による同意を得ているとは考えづらい。
動画のコメント欄には「内容の録音や口外は禁止されています」と、規約違反を指摘する書き込みが複数寄せられている。一方で「アップ(投稿)感謝です」「このアプリ入れてなかったから載せてくれてありがたい。本当はダメだけど」といった書き込みも多い。
転載行為はユーチューブに留まらない。中国の動画サイト「bilibili(ビリビリ)」では、米自動車メーカー「テスラ」創業者のイーロン・マスク氏によるClubhouseでの会話も転載されていた。
規約を破られ、会話内容をさらされた当事者としては怒りを覚えることも。タレントの藤田ニコルさんは2月8日、自身がClubhouseで話した内容が週刊誌の記事になりそうな事態が生じたとし、「こーなるとつまんなくなる」とツイッター上で苦言を呈した。