「医療崩壊」に違和感
保険金がもらえるかどうかはともかく、「医療崩壊」という想定外の現状に対するいら立ちや疑問の声も増えている。そもそもなぜ人口当たり世界一の病床を持つ日本で「医療崩壊」が起きるのか。 J-CASTトレンドで紹介した「医療崩壊は本当に起きるのか 現役医師が『文藝春秋』で指摘した『弱点』」で医師・医療経済ジャーナリストの森田洋之さんは、日本の医療システムが、緊急事態に臨機応変に対応する「機動性」に欠けていることを強く指摘していた。
「霞ヶ関官僚が読む本」でも同様の指摘があった。「過去には医師優遇税制も受けて構築されてきた優秀な医療体制のはずが、業界団体である日本医師会は、危機時の供給不足について反省を示すどころか、上から目線で国民に我慢を呼びかける始末」と、霞が関官僚の視点から、「医療崩壊」への違和感を率直に語っている。そして、20年1月23日付の日経新聞が、「公的病院や大学病院を軸に施設が整った病院をコロナ重症者の治療拠点とし、専門医を集める必要がある。コロナ以外の重症者の受け入れ病院と役割分担すれば医療資源を効率的に活用できる」と提言していることを高く評価していた。
最近では、スカイマーク会長の佐山展生さんの「コロナ闘病記」も話題になっている。Business Insiderによると、佐山さんは、幸い入院できたが、コロナ特有の病状急変には苦しんだという。「軽症だから自宅待機というのは、家庭内感染を増やして下さいと言っているのと同じ」「高熱のある人の在宅とホテル療養は、極めて危険」と警告。1兆円を超えるGoToトラベル事業予算の半分だけでも、医療関係者の支援と休業や時短で経営が圧迫されている人たちに回すべきではないかと国の政策転換を訴えている。