新型コロナウイルスをめぐっては、「マスク警察」や「自粛警察」といったワードがたびたび話題となる。マスク着用や外出自粛の要請に伴い、他人に対して感染対策を過剰に求める人たちを指すものだ。
真冬でも500メートル歩いて汗ばむ
米疾病対策センター(CDC)は、医療用マスクと布マスクを2枚重ねて着用することで、新型コロナウイルスの感染リスクが低下するとの実験結果を、2月10日(現地時間)に発表した。日本でもテレビや新聞が報じている。
CDCは、口元から空気中へ粒子を放出できるダミー人形を使用し、咳による粒子の動きについて実験した。その結果、緩く着用した医療用マスクは42.0%、単体の布マスクは44.3%の粒子を遮断した。一方で、医療用マスクの上に布マスクを重ねた「二重マスク」の遮断率は、92.5%だったという。
さらに、平時の呼吸で放出される粒子を、どれほど他人が吸い込むかも実験した。粒子を放出するダミー人形と、それを受ける「レシーバー」として別のダミー人形を用意。両方に二重マスクを着けて実験したところ、粒子によるレシーバーへの接触を96.4%遮断したとのこと。
効果はあるようだ。そこでJ-CASTトレンド記者は、二重マスクを試すため不織布マスクの上に布マスク(本体ポリエステル80%・綿20%)を着け、屋外を約500メートル歩いた。
短距離ではあるものの、息苦しさを覚えた。酸欠や、意識が薄れるような状態には至らなかったが、心拍数が上がり、じんわりと汗もかいた。真冬の2月でこれだ。夏場だと熱中症にもつながりそうだ。
二重マスクしないと「意識が低い」?
J-CASTトレンドは、つい最近二重マスクを着用し始めた30代の女性会社員に取材した。組み合わせは不織布マスクの上にウレタンマスク。花粉症でくしゃみが出ることから「飛沫を少しでも飛ばさないよう」に着けている。
マスクの密着度が高まった一方で、痛みはないものの「耳が前方に引っ張られる感じ」があるという。夏場は、「暑くなってからの二重マスクはきついと思うので、しない予定」だと話した。また今後、二重マスクは、「必ず(着けなければならない)という風潮にまではならないと思っています」と答えた。
一方、米ニューヨークの大学に通う日本人女性は、数か月前からN95(マスクの規格)マスクの上に他の不織布マスクを着けている。大学の友人らも同様だ。「周りでは、二重マスクをしていなかった人が『もう会いたくない』と陰口を言われているのをよく耳にします」と話した。