ホウレンソウの根元、捨てていませんか――。
農業法人・安井ファーム(石川県白山市)が2021年2月6日、ツイッターで投げかけた一言が話題になっている。ホウレンソウの根元のピンク色の部分は「甘味が強く、ミネラルも豊富に含まれている」ため、捨てたらもったいないのだ。
葉と一緒におひたし、バターソテーに
安井ファームのツイートには「ピンク色の部分に毒はありません。土をよく落としてから調理していただければ」とある。同社広報に取材すると、マンガンなどのミネラルが含まれていると話した。この担当者の妻が、自宅でホウレンソウを使って調理している最中、根元を捨てようとしているのを見かけ、「おいしいところなのに、食べずに捨てている人が多いのでは」と気付いてツイートしたという。塩ゆでして食べると、野菜の甘みが感じられておいしいそうだ。
「葉の部分と一緒におひたしにしたり、バターソテーにしたりするのがおすすめです。切った根元を、わざわざ別の料理に仕立てる必要はありません。ただ『仲間外れ』にするのはもったいないと知ってもらえたら」
根元を下処理する際は、先端部分に十字の切り込みを入れたうえで水洗いすると、土や汚れを落としやすいという。深く切り込みすぎると葉がバラバラになってしまうので、注意が必要だ。
「野菜について、何となく『体に悪そう』『食べられないのでは』というイメージがあって、使わずにいる部分は少なくないと思います。ホウレンソウの根元以外にも、例えばブロッコリーの茎やゆで汁も同様です。捨てる前に『もしかしてこれも使える?』と疑問をもつことが大切だと思います」
「シュウ酸」摂取制限者は注意を
ホウレンソウには、シュウ酸が含まれている。広報担当者は「医師からシュウ酸を多く含む食品を制限されている場合は、専門家のアドバイスに従ってほしい」とも語る。
日本医療機能評価機構が運営するウェブサイト「Mindsガイドラインライブラリ」によると、「尿路結石症予防の観点からは、シュウ酸の摂取を減らすことが重要」とある。シュウ酸は水溶性のため、ゆでることで減らせる。