シヤチハタ「印鑑に逆風」の今こそ 「ハンコもいいね」分かってもらうツイートを

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【ツイッターは仕事!企業公式「中の人」集合(14)】

   朱肉不要の「簡易印鑑」の代名詞的存在、シヤチハタ(名古屋市)。2020年に創業95周年を迎えた老舗メーカーだ。コロナ禍で、世の中に「脱ハンコ」の動きが進む逆風の中、公式ツイッターアカウントの担当者は実際にスタンプや朱肉を使いながら、視覚的に商品をアピールしている。

   「シヤチハタ」と言えば黒ホルダーのイメージだが、投稿を見ると色とりどりで、おしゃれな印象を受ける。

  • 「シヤチハタ」公式ツイッター担当者
    「シヤチハタ」公式ツイッター担当者
  • 「おててポン」と「ドレスアップネーム9」
    「おててポン」と「ドレスアップネーム9」
  • 「シヤチハタ」公式ツイッター担当者
  • 「おててポン」と「ドレスアップネーム9」

「自社カタログを読んで勉強」からスタート

シヤチハタ】ネーム印やスタンプ台などの商品情報やサービスを紹介。ユーザーとのコミュニケーションを重視し、商品購入者の報告ツイートやユニークな使い方をしている投稿を積極的にRTしている。アカウント開設は2010年、現担当者は2018年8月から約2年半運用中。

   担当者はデジタルマーケティング部社員で、普段は公式ウェブサイトを管理するほか、ウェブ上で新商品の露出を図る施策に携わっている。部署異動を機にツイッター担当者となった。当時、自社の文具・事務用品にほとんど触れたことがなく、カタログを読んでの勉強からスタートだったという。

「文章を読むだけでは、商品の魅力や用途を『自分の言葉』で伝えられないと感じたので、さらに実物を手に入れて『触って学ぶ』過程を経てから、つぶやき始めました。今でも言い回しは常に悩んでおり、一つの投稿を作るのに30分以上かかることがあるくらいです。時代の潮流を見極めつつ、限られた文字数でどれだけわかりやすく伝えられるかを突き詰める難しさに日々直面しています。でも、苦ではありません」

   例えば、働く女性の声から生まれた文房具シリーズ「opini(オピニ)」。紹介の際は「女性向け」とせず、「誰が使ってもいい商品」だと、「特定しない言い方に変える」努力をしている。「働く女性たちの意見をもとに作った品でも、男性や、就労していない女性が使ってはいけない決まりはない」という思いがある。

「シヤチハタって、こんなことも...」

   コロナ禍で印鑑による事務手続き、いわゆる「ハンコ文化」が問われた。押印のため、あるいは押印してもらうためだけに出社するのは、感染防止の観点から「避けるべきでは」との意見が多く上がり、「脱ハンコ」の動きも加速した。担当者によると「厳しい意見が多数寄せられ、前例のない事態だった」。

   それでも、ツイッターでさまざまな意見を目にして、印鑑そのものではなく押印の「手間や経緯」にうんざりする人が多いのではと気付いた。「ハンコ不要論」も唱えられる状況だからこそ、情報発信する重要性を感じたと語る。

「当社では、出社せずに文書の申請や承認ができる電子決裁サービス『シヤチハタクラウド』で、押印にまつわる煩雑さを解消するお手伝いをしています。子どもに楽しみながら『手洗い練習』をしてもらえるスタンプ『おててポン』もあります。16年に発売した商品ですが、コロナ禍で再度注目されました」

   特に、うまく情報を届けられたと手ごたえを感じているのが、5000以上RTされ反響を呼んだ20年6月の投稿だ。看板商品である「ネーム9」のホルダー、印面本体、キャップの各パーツの色を自由に選んで「自分らしいデザイン」を作り、オフィシャルショップで購入できるサイトを紹介した。「シヤチハタって、こんなこともやっていたんだ」、「これならハンコ文化も悪くないかも」といったつぶやきを見かけるようになったと語る。

   今後は「『ユーザーとのコミュニケーション』を、どういう形で実現するかを模索したい」と担当者。販売商品に対して「ツイッター経由で見つけた声」を反映させて改善を図るだけでなく、これまで培ってきたノウハウを生かし、「ツイッターで得た声をもとに、商品を一から作る」ことが目標だという。

各企業公式ツイッターアカウント担当者(通称:中の人)をJ-CASTトレンド記者が突撃取材。「業務」として日々ツイッター運用に取り組む担当者たちの魅力を紹介する。

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