田中将大投手が、古巣の東北楽天ゴールデンイーグルスに戻ってくる。球団が2021年1月28日に発表した。田中投手は日米通算で177勝を挙げており、名球会入りの条件でもある200勝の達成も間近だ。
これまでに200勝を達成した投手26人(日米通算含む)のうち、2000年以降に成し遂げたのは4人だけ。現代は、200勝はハードルが高いようだ。J-CASTトレンドは、野球にも詳しいスポーツライターの小林信也氏に取材、200勝投手になるための「条件」を聞いた。
減った登板数で負けないこと、打線やリリーフも重要
まず、なぜ200勝の達成は昔に比べて難しいのか。小林氏によると、現代では投手への負担などを考慮して、ローテーションや投球数に対する意識が高まった。これにより、投手の登板数や完投が減り、勝ち星を挙げられる機会が減少した。
現代で200勝をする条件に、小林氏は「負けないこと」を挙げる。登板数が減っている以上、負けが続くと勝ち数もおのずと減る。また、ケガなどをせずに「コンスタントに活躍できる」ことも条件とした。
所属チームの打線の強さも必要だ。加えて「リリーフがしっかりして、自分が降りた後も勝ち星を守ってくれるということも、条件だと思います」。
また、「昔と違って、今は『豪速球ピッチャー』よりも、技巧派や頭脳派など、バッターとの勝負がうまいピッチャーがたくさん勝てるのではないか」とも。豪腕投手にとって、確かに速球は強みだが、選手寿命が短かったり、けがをしやすい場合があるという。
高卒でのプロ入りという点も口にした。より長く現役を過ごし、多くの勝ちを稼げる可能性がある。田中投手は、その例に合致する。
「令和の怪物」も候補に
田中投手以外で今後200勝を達成できそうな投手を、小林氏は数人挙げた。
まずは読売ジャイアンツの菅野智之投手(101勝)。20年10月で31歳になった。「メジャーに行かずに、去年並みの活躍をあと3、4年できると見えてくるかなという感じです」。20年は14勝で最多勝に輝いた。
20年12月で30歳を迎えた楽天の則本昂大投手(85勝)も候補だ。「力投をする投手ですが、巧さも備えられると思うので、タイプ的には期待したい」とした。
阪神タイガースの西勇輝投手(95勝)も30歳。「ガッツもあるし、可能性はある。西投手が投げたときの、リリーフ陣やチームのサポートに懸かっていると思います。阪神はリリーフの充実意識も高いチームなので、そういう面で支えられれば」。
若手の中では、高卒3年目を迎える巨人・戸郷翔征投手。「高卒で早い段階からちゃんと(勝ち数を)稼いでいる」としつつ、200勝達成には故障をしないことも条件だと強調した。
最後は19年のドラフト1位で千葉ロッテマリーンズに入団した高卒・佐々木朗希投手。まだまだ投手としては未完成だとしつつ、「順調に成長すれば可能性はもちろんある」とコメントした。
小林氏によれば、佐々木投手は「簡単にすごいボールを投げられる」ピッチャー。将来的にローテーションを守ることができるようになれば「かなり勝てる」と予想した。