2021年の節分は、2月2日だ。これは124年ぶりの「珍事」だという。
節分に食べる恵方巻。コロナ禍の今年、各百貨店では、工夫をこらしたさまざまな商品が登場している。一方、かねて問題視されてきた売れ残り品の大量廃棄は解決に向かっているだろうか。
店頭の密を避けるためオンライン予約導入
京王百貨店では、21年1月28日までオンラインストア「京王ネットショッピング」で恵方巻の予約を受け付けている。同社の発表によると、京王百貨店新宿店では節分の日が1年の中で「寿司が最も売れる日」だという。店頭での密を避けるため、今年は初めてオンライン予約を導入した。
生のサーモンとカニで巻き、イクラをトッピングしたぜいたくな恵方巻「豪華かにサーモンロール」や牛肉を使った「米沢牛牛肉恵方巻 焼肉」と、種類豊富だ。
大丸松坂屋百貨店の上野店では、断面が妖怪「アマビエ」の顔になっているユニークな「アマビエ恵方巻・金箔のせ(ハーフ)」や、崎陽軒の「シウマイ恵方まん」などを発売する。一部商品は事前予約可能となっている。
農水省の対策で約9割が廃棄率「減少」と回答
恵方巻は毎年、スーパーやコンビニエンスストアで数多く販売される。購入する人も多い一方で、最近では「フードロス」が指摘されている。過去には店頭で売れ残った恵方巻が大量に廃棄される画像がツイッター上に出回り、問題になった。
農林水産省では「恵方巻きのロス削減プロジェクト」を推進している。同省は2019年にも、節分シーズンに食品小売業者に対して、需要に見合った量の恵方巻の販売を呼びかけた。その後の同省の調査によると、食品業75社のうち、約9割が節分時の廃棄率(金額)が「減少した」(87%)と回答し、効果が見られたという。各社が取り組んだ内容には、予約販売の実施、当日のオペレーションやサイズ・メニュー構成の工夫などがあったそうだ。
20年1月17日には、同プロジェクトに食品小売業者(26事業者)が本格的に参画し、引き続きロス対策に取り組んだ。
日本経済新聞(電子版)の20年3月25日付の記事によると、コンビニ大手のセブン‐イレブンは「2020年の恵方巻きの販売で、利用客に予約を積極的に促したことなどで売れ残りが減り、廃棄に伴う損失が前年比7割減になったことを明らかにした」と報じている。セブン‐イレブンは前述の恵方巻きのロス削減プロジェクトに参画しており、予約販売をメインとするなどの取り組みを実施していた。
農水省は消費者に対しても協力を呼びかける。21年1月21日には公式ツイッターで「事前予約や食べきれるサイズを選んでいただくなど、 #食品ロス削減 にご協力お願いします」と投稿した。